食べ物には良い面と悪い面の両方があります。そこを考慮しながら、カンジダ菌にとっては「何が良くない食品」で「何が食べても問題のない食品」なのかを考えましょう。
決して完璧を求める必要はありません。今のカンジダ菌による症状が良くなることを目標に取り組んでください。
カンジダ菌とは
カンジタ菌は酵母菌(イースト菌)の仲間で、本来私たちの口腔内や腸内に住んでいる常在菌です。カンジタ菌は通常であれば悪さはしないものの、過度のストレスによる免疫力の低下・抗生剤の服用・腸内環境の悪化などを引き金に、全身で増殖して、これから解説する病気や不定愁訴の原因となることがあります。
口腔カンジタ・皮膚カンジタ・膣カンジタと感染する体の部位によって呼び名がありますが、増殖すると全身に悪影響を及ぼす菌となります。
カンジダ菌チェック
下記に当てはまる方は、カンジタ菌が優位になっている可能性が高いです。
□甘いものを食べたいという欲求が止まらない
□甘いもの・砂糖の多い食品を摂っている
□作り置きした料理を食べることが多い(前日の残り物など)
□食後に低血糖症状(頭がはたらかない、ぼーっとする、気分の変調)が起こる
□皮膚に原因不明の痒みがある
□食後に眠気がおこる
□やる気が起こらず、疲労感も抜けない
□過去に水虫や膣カンジタになったことがある
□腹部膨満感や、ガスが溜まる感じがある
□便秘や下痢、便の形が不安定などお通じに関する問題がある
甘い物への渇望と低血糖症
カンジタ菌は糖質を栄養源とするため、食べても食べてもカンジタ菌に糖を奪われ、甘いものをより一層食べたくなるという人が多くいます。その甘いものへの誘惑を断ち切れず、糖質の多い食品を食べてしまうと、低血糖症状を起こすことがあります。
低血糖の症状としては下記になります。
・頭に霧がかかったようになる、思考の停止
・ぼーっとして集中力がない
・食後の眠気
・イライラ、不安感や恐怖感、うつのような症状
・手の震え
カンジダ菌を減らす食事
初級編
基本的な考え方としては下記を避ける食事にになります。
① 精製された糖質・砂糖が含まれる食品
② お酒
③ カビを含む食品
④ 加工食品、加工肉
⑤ グルテンとカゼインの含まれる食品
⑥ 水銀の含まれる食品(大型魚)
①精製された糖質・砂糖が含まれる食品
甘いもの、糖質を多く含むものはカンジタ菌の餌になります。
・砂糖が含まれる食品 (砂糖の記事はこちら)
・はちみつ、メープルシロップ、アガベシロップ、ココナッツシュガーなどの甘味料
・パン、麺、精製された糖質
・果物(レモンやアボカドは糖質が少ないのでOK)
主食のお米を完全に抜いてしまうなどの厳格な糖質制限は副腎疲労を悪化させ体調を崩す原因になりますので、おすすめしておりません。
② お酒
カンジタ菌は「アセトアルデヒド」を産生します。
ですからカンジタ菌の猛威にやられている人は酔っ払いと同じような「頭に霧かかった酔った状態」になってしまう人もいます。
そのカンジタ菌の生成する毒素や死骸を解毒するためには、肝機能の働きを高めておく必要があります。
アルコールは肝臓によくありません。
③ カビを含む食品
カビを含む食品:酵母菌と同じ菌類(カビ)は控える必要のある食品になります。
・きのこ:きのこは菌そのものですので除菌期間中は控えましょう。
※ただし、レイシ・マイタケはOKです。
・ナッツ類:カシューナッツ、ピーナッツ、ピスタチオ
これらのナッツにはカビがついているものが多いため、水やレモン汁に浸して乾燥させるか、低温のオーブンで焼いたものならOKです。
・コーヒー:コーヒ豆にはカビが付いています。又カフェインもよくありません。
④ 加工食品、加工肉
インスタント食品・レトルト食、ハムやベーコンなどの加工肉は食品添加物が多く、腸内環境を悪くします。
保存料(殺菌剤)の多い、コンビニ弁当や駅弁は控えましょう。これらは腸内細菌層を乱します。
⑤ グルテンとカゼイン
グルテンとカゼインは腸内環境を悪くします。
グルテンを含む食品:パン、パスタ、麺、うどんなど(グルテンの記事はこちら)
カゼインを含む食品:牛乳、ヨーグルト、チーズ などの乳製品(カゼインの記事はこちら)
⑥ 水銀は大型魚に多く含まれます。特にマグロ、クジラ、サメ(フカヒレ)は控えましょう。
水銀により免疫力が低下するとカンジタ菌が増殖する原因になります。
上級編
初級編よりステップを上げて制限を厳しくしていますが、あくまでも心にとめておく程度にしておき、量を減らすなどの工夫で十分です。上級編を完全に制限すると食事のストレスにもなりかねません。
糖質を多く含む野菜、豆類
(適量をローテーションで召し上がってください)
人参、かぼちゃ、とうもろこし、じゃがいも、さつまいも
ひよこ豆、大豆、小豆、黒豆
過剰な量のお肉
「過剰」な量のお肉は、悪玉菌優位の腸内環境にし腸内を荒らします。
少量をよく噛んで食べましょう。一口30回以上噛むことを目標に!
発酵食品
漬物やキムチなどの発酵食品(乳酸菌)を、悪玉菌が優位の状態で摂ると、悪い方向に発酵を手伝うことがあります。その逆もまた然りです。
腸内の善玉菌を増やすのに役立っていることも多くありますので、もし体調がよくなる食品があるのでしたら、必ずしも制限する必要はありません。
まずは、初級編であげた食品を基本に考えて食事を決めていただければと思います。
カンジダ対策でとり入れたい食品
基本的な考え方としては
●食物繊維の豊富な食品(野菜・海藻・こんにゃく・穀物)
●解毒作用のある食品、肝機能を高める食品
●抗菌殺菌作用のある食品(スパイス・ハーブ類)
●新鮮な食品・オーガニック食品
●ほとんどの野菜(ただし糖質の多い人参やかぼちゃ、イモ類は控えめに。)特に、食物繊維が腸の善玉菌を増やす働きがあります。
●海藻:わかめ、のり、あおさ、生もずくなど
●精製度の低い穀物(ただし、グルテンを含まないもの) :玄米・アマランサス・キヌアなど繊維が腸をきれいにします。食物繊維は化学物質・農薬・重金属などを取り除く働きもします。
●タウリンの豊富な「牡蠣」「ホタテ」などの貝類や「タコ」「イカ」は肝機能に良い食材です。
●甘味料:「エリスリトール」の天然甘味料なら使用は可能です。(甘味料の話はこちら)
また天然オリゴ糖のひとつである「ラフィノース」であれば、腸内の善玉菌の栄養源となるため、腸内環境が良くなってきた時に少量でしたら摂り入れて問題はありません。カンジタ除菌中に起こるダイオフ(カンジタの死骸や放出される毒素・重金属による体調の悪化)対策として、「シクロデキストリン」(環状オリゴ糖)も効果的といわれています。【注】オリゴ糖も種類により効果的なものから、効果のみられないもの、さらに糖類を添加された商品まで様々です。
●ココナッツオイル
ココナッツオイルに含まれるカプリル酸、ラウリン酸には抗菌作用がありカンジタ対策にはおすすめ食品です。選び方のポイントは「オーガニック認証」を受けているブランドで「低温圧搾」で抽出した商品、「ヴァージンココナッツオイル」のものを選びましょう。
●純りんご酢
りんご酢には解毒作用があります。ただし、糖類添加のないりんごのみで作られた純りんご酢にしましょう。
●香味野菜、香辛料、スパイス
ニンニク、生姜、シソ、パクチー、こしょう、唐辛子、コリアンダー、シナモン、クローブ、クミン、ターメリック、バジル、オレガノ、ローズマリー、タイム、サフラン
抗菌殺菌作用や解毒作用のある香味野菜・スパイスは積極的に使用してください。
当院の治療
サプリをとってもなかなか治らないということでセカンドオピニオンで当院を受診される方が大変多いです。
根本原因がカンジタ菌による腸の炎症・サプリの吸収ができない腸内環境になっている方も多くおられます。もちろんカンジタ菌だけではなく、複合的に様々な要因が絡み合い、結果としてサプリメントの効果を半減させています。カンジタ菌の除去は効果的な治療を行うための一つの方法にすぎません。
今回ご紹介したカンジタ菌除去の食事法は必ずしも、万人に当てはまるものではありませんので、個々のライフスタイル・嗜好に合わせた食事指導を行っています。まずは根本原因を探ることからスタートをし、それに合わせた治療が必要になっていきます。
※本記事の内容は、医学的治療に置き換わるものではありません。個人的にお試しになり健康被害が生じても、