重金属の検査は、「蓄積量の検査」と「排泄量の検査」の大きく2つにわけられます。どちらも非常に重要な検査であり、目的によって使い分けます。
「排泄量をみる検査」
毛髪、尿、便は、全て重金属の排泄経路手段となっており、それぞれの検体の重金属を測定することで「どのくらい金属を排泄する力があるか」という情報をえることができます。
毛髪ミネラル検査
特にミネラルバランス、有機水銀の排泄量、水銀蓄積によるミネラル輸送障害の判定に優れています。重金属の影響を受けやすいのは蓄積量が多い人ではなく、排泄力が弱い人ですので、ミネラル輸送障害の有無を見るのは非常に重要です。
また、ストレス状態、エネルギー状態、腸内環境、神経伝達物質のバランスの推定にも使われます。
水銀蓄積によるミネラル輸送障害について
重金属の中で特に問題になるのは日本の土壌に多く含まれる水銀です。水銀は他のミネラルの体内での輸送や濃度の調節に大きく干渉します。
水銀の毒性は有用なミネラルの働きを奪ってしまう事によって発揮されます。水銀は様々な方法を使ってミネラルの輸送を障害するため、体内にたまっている水銀量が多くとも、血液中や尿中に含まれる水銀量は少量であることがほとんどです。
また、水銀の蓄積によって水銀の排泄そのものも障害を受けることがあり、毛髪や尿、便中の排泄量が少なくなるという現象もみられます。だから、検査で水銀量が少ないからといって安心はできません。
毛髪ミネラル検査では、体内に水銀が蓄積すると特徴的なミネラル障害が現れます。ここが検査の解読を難しくしている点であり、ミネラル輸送障害を判別する特別な知識を有していなければ、一般の人でも医療関係者でも水銀中毒を見分けることが出来ないので注意が必要です。
毛髪ミネラル検査についてさらに詳しく
尿重金属ミネラル検査
毛髪検査が過去3か月のミネラルバランスの平均値を表しているのに対して、尿検査は現時点での重金属、ミネラルの排泄状態を測定することができます。そこから主にデトックス、体質改善治療の効果の判定に使用します。
便中重金属検査
尿検査と同じく比較的リアルタイムの重金属の排泄状態を表します。特に有機水銀は90%が腸を通って便中に排泄されますので、水銀デトックスの効果判定には特に有用です。
蓄積量をみる検査
オリゴスキャン検査
オリゴスキャンは、手のひらに光を当てるだけで体内のミネラル・有害重金属を測定する事が出来る検査です。各ミネラルの特有の波長を特殊な装置で読み取る仕組みです。
毛髪ミネラル分析は体内の必須ミネラル、重金属ミネラルのバランスを推定するのに非常に便利な検査です。
しかし、あくまでも推定であり、体内にどれだけ金属がたまっているかを実際に測定する事はできません。もし、何らかの影響で体内からの排泄力が落ちている場合、体内蓄積量と排泄量は比例しません。
また、残念ながら、そのようなときに深刻な病状が起きていることが多いのです。ですから時には蓄積量そのものを測定する事が必要になります。