現代社会では完全に環境毒物を避けて生活する事は困難です。これら毒物のせいで、私たちの免疫、内分泌系は傷害され、ダメージが蓄積しています。
人間はもともと、体内に入ってしまった重金属などの毒素を、体外に排出させる「解毒能力」を持っています。しかし、現代の慢性的な運動不足や、ファーストフードなど、外食中心の食生活が増えると、基礎代謝能力が弱まり、それとともに解毒作用も徐々に衰えている様です。
体内に蓄積されている重金属の種類によって、それぞれ以下のような症状が現れることがわかっています
●鉛
不眠、頭痛、疲労、ストレス
●水銀
不眠、頭痛、倦怠感、神経毒、脂肪燃焼に必要な酵素を阻害する
●カドミウム
関節炎、肝臓や腎臓障害
●ひ素
疲労感が続く
これらの金属の体内への蓄積や排泄力を見るのが重金属の検査です。
毛髪ミネラル検査
毛髪中に含まれるミネラルや重金属を測定する検査です。毛髪は便や尿、汗と同じく人間の大事な排泄経路のひとつです。血液中のミネラルはいつもバランスが自動調整されているため、体内蓄積量を正確には反映しません。
その一方で、体内のミネラル類は、血流を通じて毛髪に付着しやすい性質を持っており、毛髪は日々の栄養バランスを継続的に記録しながら伸長するため、体内のミネラルバランスの傾向をみるのに最適な検査といえます。
毛髪の根元から1cmごとに1ヶ月分のミネラル状態を表していると言われています。有害重金属、必須ミネラルの排泄量を測定することで、有害重金属の排泄能力、ミネラルバランス、腸内環境に異常があるかどうかがわかります。
有害重金属とは、水銀、アルミニウム、カドミウム、ヒ素、鉛、ニッケル、ベリリウムなどがあります。必須ミネラルとは、人間にとって必要不可欠なミネラルのことで、カルシウムや、マグネシウム、亜鉛、銅などのことです。
有害重金属は食事、水、空気、日用品などから体内に取り込まれ、多彩な症状を引き起こし、老化や体調不良、様々な病気の原因になります。当院では、尿や毛髪検査を用いて重金属の蓄積やミネラルのアンバランスを測定しています。
なぜ血中濃度ではなく毛髪中ミネラルを測定するのか
血液検査でもミネラルを測定する事は可能です。しかし、体内のミネラルの過不足を診断するためには、血液検査は不適当です。例えばカルシウムやマグネシウムなどは、血中濃度が狂わないように厳重に微調整がされているからです。
また、マグロをはじめとした大型魚に含まれる水銀は、体内に入ると血中濃度が上がりますが、それはすぐに組織に吸収されてしまいます。
水銀の血中濃度が上がるのはマグロを食べてから3時間の間だけです。だから経時変化に影響を受けにくく、安定した値が得られる尿検査や毛髪検査を行うのです。
数多くの毛髪ミネラル結果を見てきましたが、重金属の全くたまっていない日本人はいません。水銀、鉛、ヒ素、カドミウムをはじめとして多彩な重金属レベルが高いのがごく普通です。いかに日本人が重金属汚染にまみれているかということがわかります。
検査会社によって基準値は異なる
毛髪ミネラル検査を行っている検査会社にはいくつかあります。しかし、日本人と欧米人では重金属の蓄積量が違いますので、各検査会社の重金属検査の基準値にも影響しています。
各ミネラルの値に関しては両社でほぼ同じですが、基準値が大きく違うため、同じ検査の値でも「一方では正常範囲なのにもう一方ではかなり足りない」という検査結果の解釈の違いが生じます。
例えば、21歳から40歳における、ドクターズデータ社の水銀の基準値は400ppb以下ですが、らべるびぃ社のそれは、2183~6946ppbと、かなりかけ離れています。私の水銀値は、ら社の検査結果では基準値よりやや高い程度ですが、ド社では、飛びぬけて高くでていました。
同様に、リチウムの基準値は、ドクターズデータ社は7~23ppb、らべるびい社は0.32~8.4ppbです。私のリチウム結果は、ら社では、基準範囲の真ん中ですが、ド社では、最低値までグラフが振り切れています。
これらの差異は、両国に住む人の食習慣だけでなく、生活環境や、両社の測定器のセッティング等様々な要素に左右されるでしょう。これらの差異を頭に入れてデータを読んでいかないと、思わぬ落とし穴に引っかかる事があります。
重金属は、許容量がないので、基準値に関わらずゼロをめざすべきですが、必須ミネラルに関しては、バランスが大事です。だから、基準値を考慮して値を読んでいくことが大切です。
当院では、これらを考慮して、毛髪分析検査を診療に役立てています。
尿中ミネラル分析検査
治療効果があるかを事前に予測するために使われる検査です。
事前に重金属を排出させる点滴を行い、その後に尿中に出てくる金属を検査します。これによって、実際に治療効果がでるかどうかをも同時に予測が出来る検査になっています。