神経伝達物質のバランスは遺伝と栄養できまる
遺伝要因
その① 葉酸活性化遺伝子変異があるとドーパミン、セロトニンは減少する
MTHFR(メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素)は、葉酸の活性化に必要な酵素ですが、
この酵素を作る遺伝子に変異が起きてうまく働かない場合、結果として体内における
メチル化反応(メチレーション)が低下します。
すると、シナプスにおいて余った神経伝達物質を取り込む輸送タンパク質が作られるようになり、その結果、シナプス間隙におけるドーパミン、セロトニンは減少します。
同様に、
その② ビタミンD受容体遺伝子に変異があるとドーパミンが減少します。
その③ クレアチン合成酵素遺伝子に変異があるとドーパミンが増加します。
このように、神経伝達物質の量は遺伝の要因を強く受けています。
栄養
ドーパミンが材料であるLドーパから生成される際にはビタミンB6が必須です。
5HTPからセロトニンが作られる際にもビタミンB6が欠かせません。
つまり、ビタミンB6が足りないとセロトニン、ドーパミン共に低下します。
また、ドーパミンからノルエピネフリンへの転換には、銅が必須なのですが、
銅が体内に多すぎる場合、この転換も過剰に起こってしまい、
その結果、ドーパミンの低下とノルエピネフリン過剰が起こります。
遺伝的に弱い部分は栄養で補ってあげればいい
精神疾患をもつ多くの方は、体内でのビタミンB6の働きが弱かったり、
体質として銅が多めだったりすることがあります。
その場合は、ビタミンB6や、銅を体内から排出する効果のある亜鉛を栄養サプリメントで
補ってあげることで、神経の働きを正常化させることができます。
このような生化学治療をうまく行うためには、現在の神経伝達物質バランスを
検査して正確に見極めることが大切になります。