治りの悪い更年期障害の原因のうち主な5つについて取りあげます。
エストロゲン過剰
「更年期障害」と聞くと、エストロゲンという女性ホルモンがが少なくなることによって起こる、と思われる方は多いのではないでしょうか?
しかし、実際のところは女性ホルモンである「エストロゲン」と「プロゲステロン」のアンバランスによって生じることが分かってきました。
一般的に更年期に近づいてくると、女性ホルモンである2つのホルモンとも低下してきますがエストロゲンの減少が、40~60%に対して、プロゲステロンの減少は、80-90%に近くなります。
エストロゲンはあるのにプロゲステロンが少ない、もしくはエストロゲンも減少しているが、プロゲステロンの減少の方が激しい。つまり、プロゲステロンの存在に比べて、エストロゲンの存在の方が上回っている場合の事を「エストロゲン優勢」と言います。
エストロゲン優勢による症状は
・老化現象の加速化
・アレルギー症状
・甲状腺炎
・乳癌
・乳房の痛み
・乳腺繊維腫
・子宮頚管異形成
・子宮内膜癌
・子宮筋腫
・子宮癌
・PMS
・多嚢胞性卵巣
・過多月経
・生理不順
・不活発な新陳代謝(脂肪の増加、冷え性、浮腫)
・精神過敏、不眠、物忘れ、不安感、ふさぎこみ
・骨の質の低下
・性欲の減退
などなど、一般的に言われる更年期障害の症状、また、その他女性特有の婦人科系疾患も発症しやすくなります。
エストロゲン過剰で、プロゲステロン不足であると、エストロゲンは身体にとって有毒となります。実際、本当にエストロゲンが不足している人は稀で、多くの女性はプロゲステロンが不足しています。
●エストロゲンとは・・・
実は、特定のホルモン名称ではなく性欲を刺激する特質を持った成分の分類を示した名称です。人間のエストロゲン・動物のエストロゲン・植物エストロゲン・合成エストロゲンそして、体外エストロゲンなどがあります。
エストロゲンは、細胞の成長を刺激する性質をもつため、使用法・使用量などに細心の注意を払いうまく扱うことによって、素晴らしい効果をもたらすことができます。
しかしその反面、過剰になるとガンの危険因子となりえます。
エストロゲンの主要な役割は、子宮の成長と機能をコントロールすることです。
特に、子宮内膜の増殖、つまり血液で造られた子宮の組織膜を造り出し、妊娠に備えます。
そして、閉経後もエストロゲンは造られます。
卵巣によるエストロゲン生成が低下すると、脂肪細胞がその埋め合わせをしようとします。
更年期の年代の女性たちがふくよかな事(肥満ではなく)は、女性の体が脂肪細胞でのエストロゲン生成を促進するようデザインされている事から考えて、とても役に立つ重要なメカニズムです。エストロゲンは骨量の減少を防ぎ、頭脳の活動を維持する役割を担っています。
●プロゲステロンとは・・・
エストロゲンと違って総称的な名前ではなく、排卵後に黄体によって造られるホルモンです。(少量ですが副腎でも造られます)
哺乳類動物によって造られる特殊な分子であり、体の中で多様な役割を持っています。
プロゲステロンの体内における一番重要な役割は、「エストロゲンのバランスをとる、エストロゲンと拮抗する」ことです。プロゲステロンの存在が安定していると、エストロゲン過剰にも対処しやすくなります。
その他、気持ちを落ちつける、癌に対する抵抗力をつける、新しい骨を造る、など様々で、
重要な役割を持っています。
原因その② エストロゲン過剰を起こす原因
エストロゲン過剰になる原因はなんでしょうか。
1.エストロゲン補充療法
2.前更年期(普通よりも早期に卵胞が排卵しなくなり、結果として、更年期より前にプロゲステロンが不足してしまう)
3.環境エストロゲンへの暴露(早期に卵胞が排卵しなくなる原因になっている)
4.避妊用ピル(エストロゲン物質が過剰に含まれている)
5.子宮摘出手術(卵巣の機能不全や萎縮を招く)
6.閉経(とくに太った女性の場合)
この6つのうちのどれかが、治りの悪い更年期障害の原因かもしれません。
特に1の「エストロゲン補充療法」、4の「ピル」などは日本でも身近で実際受けてる、使っているという方も多いかと思います。
この記事を読んでいただいたことをきっかけに考え直してみてはいかがでしょうか?
また3の「環境エストロゲン」これについては次章で詳しく書いていきます。
原因その③ 環境ホルモンの影響
環境ホルモンとは、「内分泌かく乱化学物質」「体外ホルモン」とも呼ばれ、「動物の生体内に取り込まれた場合に、本来、その生体内で営まれる正常なホルモン作用に影響を与える外因性の物質」と定義されています。
具体的には
ダイオキシン・殺虫剤・スプレー・排気ガス・食肉・プラスチック・合成物質が使われてる家具・家など、生きとし生けるもの全てに、ホルモンの影響を与える合成の化学物質などです。
このような環境(体外)ホルモンは、脂肪に溶けるので簡単に皮膚を通じて体内に入り蓄積します。
たいていの体外ホルモンはエストロゲン的な影響を持ち、これが世界的にも「エストロゲン優勢」の状態を作り出してしまいます。
これらは
がん、生殖器の異常、月経異常、若年性更年期、男性の女性化、知能低下・学力障害・注意力欠如・ストレスへの過剰反応・ 拒食症・強迫神経症・様々な不安症・鬱状態・アレルギーなど、人や生物に、多大な悪影響を及ぼすことがわかっています。
さらに、環境ホルモンの影響を受けている動物の肉などを食べることも影響があることが分かっています。
そして、人間への影響として、キレやすい子供が増えたことも環境ホルモンの影響ではないか?と言われています。
原因その④ 輸入牛や牛乳に入っている成長ホルモン
輸入牛や牛乳に入っている成長ホルモン(遺伝子組み換え成長ホルモン)も環境ホルモンのその1つです。
乳牛や食用牛に用いられている「成長ホルモン剤」にはいくつもの種類があります。
その中でも遺伝子組み換えによって作られた通称「rBGHホルモン」と呼ばれるホルモン剤は、牛乳の生産量を著しく増加させる(通常の10%~40%)ホルモンとしてアメリカでは1993年に承認されて以降、あっと言う間にアメリカの多くの乳牛に投与されることになりました。
そのようにして量産された乳製品は、今、バター、チーズ、ヨーグルト、アイスクリームなど
様々な形をとって私達の口から入って来ていることになります。
当然の流れとして、乳牛以外の食用牛にもアメリカではこのホルモン剤の投与が開始されています。
アメリカでは成長を促す3種類の天然ホルモン、3種類の合成ホルモン、合計6種類のホルモン使用が許可されており、ほとんどの牛に投与されています。
(オーストラリアでは5種類、カナダでは3種類、日本では4種類が認可されており、EUでは一切認められていません。)
米国産牛肉には、国産牛肉の600倍もの高濃度のホルモン剤が残留しているのが分かってします。
北大医師の研究によると米国産牛肉を継続して摂取すると、ホルモン性依存の乳がんや前立腺がん発生の危険性が5倍も高まることが分かっています。
ということで、EUは、米国産牛肉が危険ということで、輸入を禁止していますが日本ではOKのままです。
遺伝子組み換え成長ホルモンが体に及ぼす影響でわかっているのは、がん以外に女性では
・女性の早熟化
・女児の乳房の異常発達
・女児に陰毛が生える
・子供の膣ガンの増加
・乳幼児の奇形 など
男性では
・ED
・ヒゲが生えなくなった
・男性の女性化
・その他、肥満、乳房の巨大化
などがあります。
また1997年1月にはフランスで40人以上の児童の死亡例がありました。
このように残念ながら、私たちの身の周りには常に環境ホルモンが存在しています。
もしかしたらそのせいで「体の不調」もちろん治りにくい更年期障害にもにつながっているかもしれない、と疑う目をもってください。
原因その⑤ 副腎疲労と更年期障害
最後に副腎疲労と更年期障害について解説します。
副腎疲労は更年期障害を起こし、悪化させます。
女性ホルモンは卵巣だけなく副腎でも作られます。
閉経が近づいてくると、卵巣から分泌されるエストロゲンやプロゲステロンは減少し、副腎での生成経路が働いてきます。
副腎が元気な場合はこの過程がスムースに行くので問題ないのですが副腎が疲れていると副腎が女性ホルモンをうまく作れなくなるので更年期障害が出やすくなります。または悪化します。
更年期障害がなかなか治らない、あるいはまだ若いのに更年期のような症状がある(若年性更年期障害)という方、一度副腎チェックもしてみてください。もしかしたらそちらに原因があるのかもしれません。