副腎という臓器をご存知ですか?
心臓や胃は誰もが知っていますが、副腎は初めて耳にする方も多いと思います。あまり知られていないとても小さな臓器ですが、わたし達の身体にとってとても大切な役割を果たしています。
副腎は左右の腎臓の上に1つずつある小さな臓器で、ホルモンを分泌することが仕事です。副腎が疲弊することによってホルモンが分泌されなくなることで副腎疲労など様々な不調を引き起こします
副腎はホルモン産生臓器です
副腎は左右の腎臓の上に1つずつある、直径3cm、重さ5gほど小さな臓器です。
ピラミッド型の臓器で、コレステロールを原料にしてストレスを打ち消すホルモンであるコルチゾールや、集中力を高める時などに有効なノルアドレナリン等を分泌しています。
副腎で作られるこれらのホルモンは、例えば下記の用途に使われています。
・活動のためのエネルギー作り
・抗ストレス
・抗炎症作用、免疫抑制作用
・血圧や血糖値の上昇
・筋肉を作ったり、脂肪を燃やす
副腎から分泌される様々なホルモンとその働き
副腎はホルモンを分泌する内分泌系の臓器です。
副腎は下記の図のように二重構造になっていて、それぞれ副腎皮質と副腎髄質と言います。
それぞれに分泌されるホルモンや役割が異なります。
副腎の他に内分泌系に分類されるのは下垂体・松果体・甲状腺・副甲状腺・膵臓・性腺などになります。
副腎皮質から分泌されるホルモン
副腎皮質からは3種類の副腎皮質ホルモンが分泌されます。
①コルチゾール
3種ある糖質コルチコイド中で最も生体内量が多いのがコルチゾールです。
コルチゾールの主だった働きは下記の3点になります。
(1)血圧・体温・心拍の上昇
人間はストレスを感じるとすぐにコルチゾールを分泌し、交感神経に働きかけ血圧・体温・心拍を上昇させ、脳を覚醒させます。これは、人々がまだ森で暮らしていた時代に、熊などの動物に遭遇してしまった時など身の危険を察した時にすぐに行動できるために備わったものだと言われています。
(2)抗炎症作用、免疫抑制作用
例えば
「長期休み前に仕事を片付けておきたくて、少々無理をしていた。長期休みに入った途端、風邪をひいてしまった。」という経験はありませんか?
これは、仕事のストレスでコルチゾールが多く分泌されていたことにより抗炎症作用が促進され、風邪のウイルスや喉の痛みなどの症状が抑えられていたと考えいると同時に、免疫抑制作用でウイルスは体外に排泄されていない状態と考えられます。
そして休みに入ったことでストレスから解放されると、コルチゾールの分泌も戻ったため風邪の症状が出てきたのでしょう。
(3)血糖値の維持
飢餓状態などでエネルギーが不足しているときに、血糖値を上げるためにコルチゾールが働きます。その作用によって糖新生が起こり生体を維持します。
糖新生とは、ブドウ糖以外のアミノ酸や脂質を利用して糖質を作り出し、血糖値を保つためのしくみです。
副腎疲労などでコルチゾールが正常に分泌されないと、糖新生が出来なくなるため低血糖症状が起きやすくなります。
詳しくはこちらをご覧ください。
②アルドステロン
体内のナトリウムを取り入れて、カリウムを排出することにより体液の浸透圧調節を行います。
これにより血圧を上昇させます。
③アンドロゲン
アンドロゲンは、テストステロンなどを含む男性ホルモンの総称です。
代謝の促進、筋肉の生成、細胞を活性化などに使われます。
副腎髄質から分泌されるホルモン
副腎髄質からは2種類の副腎髄質ホルモンが分泌されます。
神経伝達物質として働きます。この2つのホルモンのバランスが崩れることで精神不安やうつ症状が出ることがあります。
①アドレナリン
不安・緊張・怒り・興奮・恐怖などといったストレスによって分泌され、交感神経に素早く作用し心拍数や血圧を上昇させます。それにより危機的な状況に心身を対応させます。
緊張や不安で心臓がドキドキして、冷や汗をかくこともアドレナリン反応です。
血糖値が上昇する作用もあり、興奮している時や緊張している時に空腹を感じないのはこのためです。
アドレナリンが分泌されにくくなると集中力の低下が起こります。
②ノルアドレナリン
アドレナリンと同じようにストレスにより分泌されるホルモンです。
ノルアドレナリンはアドレナリンの元(前駆物質)です。
アドレナリンが心拍数や血圧を上昇されて身体がストレスに対抗できるようにするのに対して、ノルアドレナリンは、脳の神経伝達物質として集中力を高めること等に使われます。
副腎疲労の代表的な症状を下記にまとめていますので、こちらもご覧ください。
https://miyazawaclinic.net/fatiguedisease/afs/symptom-picture