カンジタというと、膣カンジタを思い浮かべる方が多いですが、カンジタは膣だけでなく、口腔や胃腸などで増えやすい性質を持っています。
膣カンジタを繰り返す場合、腸にカンジタの本隊が居座っている事が多くあります。
言い換えれば、腸カンジタを治すことが膣カンジタを繰り返さないコツなのです。
腸カンジタの2大原因は、砂糖の過剰摂取と抗生物質の使いすぎです。しかしそれだけではなく、意外なものが腸カンジタの過剰増殖を引き起こします。
以下の5大原因から自分にあてはまるものを見つけてください。
砂糖
多くの人がカンジタ感染症にかかっている理由は、砂糖摂取量が飛躍的に増えている事と無関係ではありません。
カンジタは酵母という真菌(カビ)の一種で、特に砂糖のような単純糖質を好みます。様々な代謝を必要とせずに単純にエネルギー化できるためです。
砂糖の存在下でカンジタは菌糸を出して腸の壁に食い込み増殖します。
(参考:なぜカンジタはこんなに手ごわいのか?)
カンジタの様々な細胞活動には糖の代謝が不可欠です。
「甘いものが止められない」という方は腸カンジタ症がないかチェックが必要です。
砂糖を抜いてもカンジタから逃れられない人はぜひ加工食品を疑ってみてください。加工肉やファーストフードなどは要注意で、意外に糖質が多いことがあります。
また、以下の食品もカンジタ増殖を促します。
・カフェイン(血糖値を上昇させる)
・グルテン(腸粘膜をあらす)
・カゼイン(乳糖も影響します)
・アルコール
抗生物質
腸内に住むことができる乳酸菌の数は決まっており、正常な腸内細菌叢がある限りカンジタが増殖することはできません。
(Infect Immun. 1985 Sep;49(3):654-63.)
しかし、特に最近の抗生物質は強力で多菌種に対して効力を発揮するため、腸管内の良性細菌にも影響します。カンジタはそのような場所に入り込み、短期間に増殖を繰り返し腸管組織を占拠します。
病気の治療でやむを得ず抗生物質を使うときは必ず乳酸菌を併用し、腸内に余分なスペースができないような配慮が必要です。
腸内良性細菌の働き
カンジタを押し出している
腸内細菌は腸内スペースを占拠することで、余計な悪性細菌やカンジタ菌の繁殖を防いでいます。
腸内を酸性に保つ
弱酸性の乳酸菌が腸内を酸性に保つことで、カンジタが菌糸を出しにくく、増殖しにくくなります。アルカリ環境下ではカンジタは菌糸型に変化し、菌糸が腸粘膜を貫いて悪性分泌物を体中にまき散らします。
腸内環境を弱酸性に保つことはカンジタを増殖させないためにとても重要なことです。同様の理由で、胃酸分泌を促すこともカンジタ予防策として最適です。逆に胃酸の抑制剤はカンジタ増殖の引き金になります。
免疫状態を保つ
腸には抹消リンパの60%が集まっており、腸内環境が全身の免疫状態を大きく左右しています。
良性細菌がいなくなると、カンジタ増殖に格好の環境(免疫低下、弱アルカリ性環境、腸内の増殖スペース)がそろってしまうことになります。
ピロリ菌除菌の際は乳酸菌を多めに摂る
日本人に多く見られるヘリコバクタピロリ菌の感染症に対して行われている抗生物質治療では、比較的多くの抗生物質を1週間飲むことになります。
この時に比較的多くみられる副作用が下痢です。抗生物質が腸の良性細菌を皆殺しにしてしまうからです。ですから、これを予防するためには殺されていく良性細菌と同等の乳酸菌を摂取すればいい事になります。
実際、プロバイオティクスが抗生物質の使用に伴う下痢症状を予防し、さらに腸管内の生態系の維持や、その後の回復にも有効な事は、様々な論文によって実証されています。
慢性疲労を訴えて宮澤医院を受診される方の中には、数か月~数年前にピロリ菌の除菌を行ったという方が結構多くいらっしゃいます。
その他、腸内良性細菌を減らすもの
ちなみに、原料の動物が抗生剤を使用しているような加工肉を食べた場合や、塩素など殺菌効果のあるもの(プールに注意)も同様に良性細菌に影響します。
ストレス
交感神経が緊張すると、副腎からはコルチゾールホルモンが分泌され血糖値を上昇させます。糖尿病の患者さんにカンジタ症が多いのと同様に、いつもストレスがかかっている人は血糖値が高くなり、カンジタにかかりやすくなります。
また、自律神経の過緊張が続くと免疫が低下し、カンジタ増殖に有利な条件を作り出します。腸のカンジタ増殖を起こしている患者さんでは、腸粘膜の免疫の指標である便中のIgAの数値が下がっている方が多いです。
ストレスが続いている方へのお勧めを2つ挙げます。
高濃度ビタミンC点滴
ビタミンCは副腎からのコルチゾールホルモンの産生を抑えて、副腎を保護し、リラックスした気分にさせてくれます。疲れている時は25g以上のビタミンCがお勧めです。
ビタミンDサプリメント
ビタミンDは免疫を上昇させてくれます。できれば事前にビタミンDの血中濃度を調べてもらうのが良いでしょう。ビタミンDの体内濃度は人によって大きく異なるためです。
ピル(経口避妊薬)
ピルは、女性ホルモンであるエスロトゲンとプロゲステロンの合剤です。
エストロゲン膣内のグリコーゲン産生を促し、グリコーゲンは容易にカンジタの餌となるグルコースに変化します。
ピルだけでなく、ペッサリーや子宮内避妊器具等もカンジタが増える培地になってしまうため、カンジタを増やす原因となります。
閉経後の女性に対してエストロゲン投与とカンジタ感染に顕著な相関性がみられた。
Aust N Z J Obstet Gynaecol. 2001 Aug;41(3):326-8.
歯科アマルガム
歯科の治療で多く使われてきた歯の詰め物アマルガムは、水銀を50%含んでいます。コーヒーを飲む、ガムをかむなどの簡単な刺激で容易に水銀蒸気が蒸発し、体内に入り込みます。
このアマルガムが脳神経系に及ぼす影響は膨大で、すでに多くの論文が発表されています。
水俣病で知られる水銀は強力な神経毒であり、慢性疲労、頭に霧がかかった状態、集中力の低下といった症状が顕著にでます。
カンジタと水銀の蜜月の関係
水銀は、カンジタとも深い関りがあります。
水銀は免疫力を低下させ、カンジタの増殖を後押しします。また、アマルガムから放出された水銀は消化管を下って腸内で消化酵素を不活性化し、カンジタの増殖を手助けします。
さらに、水銀がカンジタの形成するバイオフィルムに巻き込まれると、体外に排出されにくくなり長く留まり続けます。
「 奇妙な話ですが、カンジダはあなたの生命を救うために存在します。 どういうことかというと、(メチル基を奪うことで)メチル水銀の毒性を減らすのです。 もちろんそれでも毒性は残っていますが。 そして、細菌はそれをメチル水銀に戻します。 それが繰り返されるのです。 もし、貴方の口の中にアマルガムがあるのにもかかわらず、カンジダ除菌をした場合、貴方の健康は(カンジダによ る防御がなくなるために)以前より悪化するでしょう。 両者には「関係性」が存在するのです。」 ハル・ハギンス
「あるカンジダ専門医は、彼の慢性カンジダ感染症患者の 98%に臨床的な水銀毒性があることを発見した。 もし慢性カンジダがあるのなら、水銀との関わりを調べなくてはいけない。 水銀はカンジダ酵母の細胞壁に結合する。 そして、酵母が詰め込めるだけの物を詰めて、飽和状態になったときに水銀はメチル水銀となって放出される これは、カンジダ治療中に貴方がアマルガムを除去するまで永遠に続く悪循環である。」 「イースト・シンドローム」Dr J. Trowbridge
アマルガム除去は安全に行うべき
アマルガム除去治療は適切な防護を行わないと、一気に大量の水銀を吸い込むことになります。
母親のアマルガムに注意
母親がアマルガムの詰め物をしていないか、もしくは以前にしていなかったかを聞いてみてください。 有機水銀は胎盤を通過し、胎児に移行することが知られています。 多くの赤ちゃんが生まれながらに毒を持っているのです。 1994 年のドイツでの研究では、新生児と幼児の水銀レベルを調べたところ、体内の水銀レベルは母親の口内のアマルガムの数に比例していました
まとめ
まずは、砂糖・加工食品を避ける食生活から始めましょう。より詳しい食事方法については下記をご覧ください。
カンジタ(カンジダ)除菌中の食事療法で避けるべき食品と食べてよい食品の見極め方
意外と大切なのはストレス・コントロールです。当院での経験上ですが、食事とストレス調整がうまくいくかどうかが成否の分かれ目を握っている事がとても多いです。
薬だけでなく、市販のカンジタ・サプリメントを使ってみるのもよいでしょう。
それでも繰り返すカンジタについては、当院にお問い合わせください。副作用が少なく再発を防ぐ治療のご相談を承っています。