女性ホルモンのアンバランスは、PMSや性欲の低下、偏頭痛や不妊など様々な病気を引き起こします。
治療には低用量ピルやホルモン剤、抗うつ剤、向精神薬が使用されますが、副作用の問題もあるし、何よりそれだけでは解決しないことも多々あります。
理由は、女性ホルモンのアンバランスにはたいてい他の根本原因が関係しているからです。
ここでは、ホルモンのアンバランスを起こす原因と、それに対する根本的なアプローチについてご紹介します。
原因1 ストレス(副腎疲労)
副腎疲労は持続したストレスによって脳と副腎ホルモン(コルチゾール)の分泌に狂いが生じる病気です。正確にはHPA軸機能低下症と言います。
副腎疲労のステージ1はストレス負荷でイライラが募っている状態です。コルチゾールはむしろ上昇し、気分的に高揚するので気が付かない人も多いです。
そんな段階でもすでにエストロゲンの材料であるDHEAは低下し始めています。
副腎疲労のステージとコルチゾール、DHEAの量の変化
コルチゾールと女性ホルモンは両者ともコレステロールを原料として作られます。
ストレスがかかると、プレグネノロンからDHEAへの変換が阻害されます。
その結果、コルチゾールは上昇し、DHEAや女性ホルモンが低下します。これをコルチゾール・スティール(コルチゾールが女性ホルモンの材料を盗んでいる)症候群と呼びます。
副腎が消耗している間は、エストロゲンよりもプロゲステロンの方がより影響を受けて低下しやすいため、プロゲステロンとエストロゲンの比率は低下します。
副腎疲労の程度と女性ホルモンのアンバランスの症状には関係性があり、副腎疲労がステージ1ならPMSや偏頭痛などがメインの症状、ステージ2以降だと性欲の低下も見られるようになります。
対策はもちろん副腎ケアです。そうすることで、女性ホルモンバランスにも大きな好影響が期待できます。
原因2 肝臓における代謝低下
エストロゲンのような脂溶性ホルモンは、水溶性物質に変換されてはじめて便や尿に混じって排泄できるようになります。この変換を行なっているのが肝臓です。
肝臓では様々な酵素が働いてエストロゲンを水溶性にしたり、不活性化したりを行なっています。
これらの酵素活性が遺伝的に弱かったり、肝機能が低下していると、エストロゲンが分解されずに体に溜まりやすくなります。
COMT遺伝子の変異で乳がんのリスクが4倍になる
https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/10519398
治療はこれらの酵素を活性化し、解毒を促します。
グルクロン酸の効力を高めるにはブロッコリーやケルセチン、プロポリスやローズマリーなどのハーブが良いでしょう。COMTはビタミンB6で活性化されます。
また、水銀など重金属は体内で女性ホルモンとして働きますので、これらも併せて解毒する必要があります。
水銀がエストロゲン受容体に結合する
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31415774/
メチル水銀は乳がん細胞の増殖を促進する
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5984200/
水銀は時に強力なデトックス治療が必要になります。水銀など重金属の蓄積や、肝臓の解毒機能を評価するためには毛髪ミネラル検査やオリゴスキャン検査などがお勧めです。
原因3 腸内環境の悪化
エストロゲンは主にグルクロン酸が結合して水溶性になって排泄されますが、腸で悪性細菌が増えると、エストロゲンからグルクロン酸を奪う酵素であるβグルクロニダーゼが増えます。
これによって、腸から便と一緒に排泄されるはずのエストロゲンが再び吸収されてしまうようになります。
腸内のβ-グルクロニダーゼがエストロゲンを再活性化する
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31636122/
対策は腸内環境改善です。
まとめ
女性ホルモンのアンバランスは根本原因ではありません。他の根本原因に付随して問題が起きることがほとんどです。
女性ホルモンと関係の深い副腎、腸内環境、肝機能に目を向けましょう。女性ホルモンだけに対処すると結果は満足のいかないものになるでしょう。
女性ホルモンのアンバランスを根本から調整するためには、まず自律神経や腸内環境、解毒機能などの正しい評価が必要です。