認知症
認知症は、記憶力や判断力、理解力などの認知機能が持続的に低下し、日常生活に支障をきたす状態の総称です。その中でもアルツハイマー型認知症が最も多く、全認知症の約7割を占めています。
従来、認知症は「治らない病気」として捉えられてきました。現在国内で承認されている4種類の認知症治療薬についても、添付文書には「アルツハイマー型認知症そのものの進行を抑制するという成績は得られていない」と明記されており、根本的な治療効果は期待できないのが現状です。
しかし近年、アルツハイマー病研究の世界的権威であるデール・プレデセン博士が開発した「リコード法」により、認知症の根本的な改善が可能であることが示されています。この治療法は、症状を抑えるのではなく、認知症を引き起こす根本原因にアプローチする革新的な方法です。
認知症の症状
認知症の症状は段階的に進行していきます。
初期症状 初期段階では、最近の出来事を忘れやすくなることから始まります。同じことを何度も聞いたり、物の名前が出てこなくなったりします。また、計算ミスが増え、集中力や判断力の低下も見られるようになります。この段階では、本人も周囲も「年齢のせい」と考えがちですが、実は重要な変化の兆候です。
中期症状 中期になると、時間や場所がわからなくなる見当識障害が現れます。家族の顔がわからなくなることもあり、着替えや入浴などの日常動作が困難になってきます。さらに、徘徊や幻覚などの行動・心理症状も出現し、介護の負担が大きくなる時期です。
後期症状 後期では、言葉での意思疎通が困難となり、寝たきり状態になることが多くなります。食事や排泄についても介助が必要となり、24時間のケアが必要な状態となります。
当院では、これらの症状が現れる前の未病の段階での予防的介入を最も重視しています。また、初期から中期の段階であれば、適切な栄養療法により症状の改善や進行の抑制が期待できます。
認知症の原因
従来の考え方の限界
これまで認知症の原因は、脳に蓄積する「アミロイド斑」であると考えられてきました。そのため、多くの製薬会社がアミロイドを除去する薬剤の開発を進めましたが、200以上の化合物が開発されたにも関わらず、最終的にFDAに効果を承認されたものはありませんでした。
栄養療法的観点からの原因
プレデセン博士の研究により、「アミロイドは原因ではなく結果である」ことが明らかになりました。アミロイドが産生される真の原因は、以下の3つの要因に大別されます。
1. 炎症の影響 慢性的な炎症が脳に与える影響は深刻です。歯周病や副鼻腔炎、リーキーガットなどの慢性炎症は全身に波及し、脳にも炎症を引き起こします。また、糖質の過剰摂取による糖化ストレスや、トランス脂肪酸による炎症体質も重要な要因です。特に日本人に多い内臓脂肪の蓄積は、炎症性サイトカインを産生し、インスリン量を増やして脳からのアミロイド排泄を妨げます。さらに、ピロリ菌などの慢性感染症も全身の炎症状態を維持する原因となります。
2. 栄養・ホルモン不足の影響 脳の健康維持には十分な栄養とホルモンバランスが不可欠です。BDNF(脳由来神経栄養因子)は脳のシナプスを保つために必要なタンパク質ですが、栄養不足により減少します。ビタミンD、ビタミンB群(特にB12、葉酸)、オメガ3脂肪酸などの欠乏は直接的に脳機能に影響します。また、更年期による性ホルモン(エストロゲン、テストステロン)の低下、甲状腺ホルモンの不足、副腎疲労によるコルチゾール分泌異常なども認知機能の低下を招きます。
3. 毒物の蓄積 現代社会では避けることのできない毒素の蓄積も重要な原因です。水銀、鉛、アルミニウムなどの重金属は脳に蓄積しやすく、神経毒性を発揮します。特に歯科用アマルガムからの水銀溶出は長期間続きます。また、カビ毒(マイコトキシン)は脂肪組織に蓄積しやすく、脳の脂質にも影響を与えます。農薬や環境化学物質への慢性的な曝露も、脳の機能を徐々に低下させる要因となっています。
これらの要因により、脳は防御反応としてアミロイドを産生し、重要な神経回路を守るために一部の脳機能を犠牲にする「ダウンサイジング」を行います。つまり、認知症は脳の適応反応であり、根本原因を解決すれば改善が可能なのです。
当院のアプローチ
当院では、分子栄養学に基づく包括的なアプローチにより、認知症の根本原因に対処します。
1. 詳細な検査による個別化医療
基本的な血液検査 まず、炎症マーカーとしてCRP、フェリチン、好中球分画を測定し、全身の炎症状態を把握します。栄養状態については、アルブミン、総タンパク、ビタミンD濃度などから評価します。ホルモンバランスでは甲状腺ホルモンや性ホルモンの測定を行い、血糖コントロールの状態はHbA1c、インスリン、HOMA-Rから判断します。これらの基本的な検査により、個々の患者さんの状態を多角的に評価します。
特殊検査 より詳細な評価のため、毛髪ミネラル検査により重金属の蓄積と排泄能力を評価します。有機酸検査では、ミトコンドリア機能や神経伝達物質代謝の詳細な状態を把握できます。唾液コルチゾール検査は副腎機能の詳細な評価に用い、GIマップ検査では腸内環境を包括的に評価します。これらの特殊検査により、従来の医療では見逃されがちな問題を発見することができます。遺伝子検査も有用です。
2. 段階的治療プログラム
第1段階:基盤の整備 治療の基盤として、まず副腎疲労の改善に取り組みます。血糖値の安定化を図り、腸内環境を改善し、基本的な栄養素を適切に補充します。この段階では、体の基本的な機能を正常化することで、後の治療が効果的に行えるよう準備します。
第2段階:炎症の除去 次に、慢性感染症の治療として、ピロリ菌除菌やカンジダ除菌を行います。リーキーガットの修復に取り組み、歯科治療との連携により口腔内の感染源を除去します。同時に、抗炎症栄養素を補充し、全身の炎症状態を改善します。
第3段階:デトックス 体の基盤が整い、炎症が改善された段階で、重金属の排出とカビ毒の除去を行います。肝臓機能を強化し、グルタチオン合成を促進することで、体の解毒能力を高めます。この段階では、適切な準備なしに行うと副作用が生じる可能性があるため、慎重に進めます。
第4段階:脳機能の最適化 最終段階では、BDNF産生の促進により脳の神経可塑性を高めます。神経伝達物質バランスの調整を行い、メチレーション回路を正常化します。また、ミトコンドリア機能を向上させることで、脳のエネルギー代謝を最適化します。
そのほかに、脳機能をサポートする栄養サプリメント、生活習慣の改善アドバイスを行っていきます。
院長より一言
認知症は、炎症や栄養不足、毒素などの原因から脳自身を守るために一部を縮小して起きる疾患です。比較的サバイバルに影響ない記憶(最近の記憶)から物忘れが始まります。
認知症対策で重要なのは早期発見です。40代でも早期認知症は発症し、副腎疲労や慢性疲労と診断されている方もいるので要注意です。
デールプレデセン博士の提唱しているリコード方法は、栄養療法の中でも大規模なエビデンスがある治療法です。40代以降で集中力の低下や記憶力の衰えを感じている方、家族歴に認知症がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
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