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コラム

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48歳女性 腸カンジダ症がアトピー性皮膚炎の改善を邪魔していた

受診までの経過

今回ご紹介するのは、20歳から続く重度のアトピー性皮膚炎に悩む48歳女性の患者さんです。症状は主に顔・首・腕に強く出ており、長年にわたりステロイド軟膏と抗アレルギー薬による治療を続けていました。しかし、塗り薬では十分な改善が得られず、むしろ悪化傾向に。

年に数回は経口ステロイド(プレドニン30mg程度)を服用せざるを得ず、中止すると必ず症状がぶり返すという悪循環に陥っていました。皮膚にはアミロイド苔癬(皮膚の硬化)を認め、長期ステロイド使用による副作用が強く懸念される状態でした。

患者さんは「自分の副腎が元気に働けばホルモンが出て改善できるのではないか」と考え、対症療法ではなく根本治療を強く希望されて来院されました。また、慢性的な不眠(ハルシオン服用中)、遅延型食物アレルギー、重金属蓄積といった要因も疑い、包括的な検査を希望されました。

診察所見

  • 首を中心に皮膚の硬化(lichenification)が顕著
  • 長期のステロイド使用歴からTSW(ステロイド離脱症候群)の可能性
  • 抗アレルギー薬、経口避妊薬の長期使用 → 腸内環境悪化の一因
  • 口腔内アマルガム充填 → 水銀曝露の可能性あり

➤ この段階で「皮膚だけでなく、腸・ホルモン・解毒の問題が絡んでいる」と考えられました。

検査結果と分子栄養学的解釈

血液検査

  • LDH 346、CRP 0.1、好中球73% → 慢性炎症と自律神経の過緊張
  • ALP 116(低値) → 亜鉛不足(皮膚修復・免疫調整に必須)
  • 血中銅 160(高値) → 炎症に伴う銅上昇、亜鉛不足を助長
  • フェリチン低値 → 鉄の利用障害あるいは欠乏

IgG食物アレルギー検査

  • 乳製品、グルテンを中心に広範囲で陽性
  • リーキーガット(腸管透過性亢進)の典型所見

便検査(総合便分析検査)

  • 善玉菌(ビフィズス菌・乳酸菌)著減
  • カンジダ菌の過剰増殖
  • 消化酵素不足、軽度腸管炎症

➤ 腸内環境悪化ステージ3(悪性菌優位)。カンジダの毒素はミトコンドリアを阻害し、慢性疲労や皮膚炎を難治化させる要因に。

尿有機酸検査

  • カンジダ代謝産物(アラビノース、酒石酸)の上昇

ミトコンドリア機能マーカー異常

尿有害メタル検査

  • 水銀・鉛の排泄増加
  • 長年の蓄積による免疫・解毒機能低下を示唆

当院で行った治療アプローチ

アトピー性皮膚炎を根本的に改善するには、腸・免疫・解毒システムを同時に整える必要があります。当院では国際的にも用いられる 「4Rアプローチ」 をベースに治療を進めました。

4Rアプローチとは?

  • Remove(除去)=悪いものを取り除く
    腸内で増えすぎたカンジダ菌や悪玉菌を減らし、毒素の発生源を断ちます。
  • Replace(補充)=消化を助ける
    消化酵素を補い、食べ物をきちんと分解できるようにして腸への負担を減らします。
  • Reinoculate(再接種)=善玉菌を育てる
    プロバイオティクスで腸内のバランスを整え、炎症が起こりにくい環境をつくります。
  • Repair(修復)=腸の壁を修復する
    グルタミン・亜鉛・ビタミンAなどで腸粘膜を補強し、リーキーガットを改善します。

➤ 難しい用語ですが、要するに
「腸の掃除 → 消化を助ける → 善玉菌を増やす → 腸を修復する」 という流れです。

2. 食事療法

  • IgG陽性食品の一時的除去(グルテンフリー、乳製品除去など)
  • 抗炎症食品の積極的摂取

3. 重金属デトックス

  • 段階的な重金属キレーション治療
  • 解毒経路のサポート(グルタチオン系の強化)

治療に伴う副作用とその対策

腸カンジダ除菌やデトックス治療では、体の中にたまっていた毒素や炎症因子が一時的に動き出すため、「副作用」あるいは「好転反応」 と呼ばれる現象が出ることがあります。

代表的なのは「ダイオフ反応」。カンジダ菌が死滅する際にアセトアルデヒドなどの毒素が放出され、頭痛・関節痛・発熱・皮膚症状の一時悪化・倦怠感などが現れることがあります。

また、重金属デトックスでは水銀や鉛が血中へ移動するため、疲労感や集中力低下、便通の変化が出ることがあります。

当院での対応策

  • サプリ・薬は必ず低用量から開始
  • 水分摂取(1.5〜2L/日)で毒素の排出を促す
  • 便秘があれば食物繊維・マグネシウムで改善
  • 定期的な血液検査で安全を確認
  • 症状が強いときは中断・調整して無理なく継続

➤ 副作用は「効いているサイン」でもありますが、不安にならず安心して続けられるようにサポートしています。

症状の経過

治療2ヶ月後 カンジダ除菌治療開始後、最も顕著な変化として食後の眠気が劇的に改善しました。これはカンジダが産生する毒素(アセトアルデヒド、アンモニアなど)によるブレインフォグが軽減された結果と考えられます。また、20年ぶりに睡眠薬なしで眠れるようになりました。

治療初期には軽度のダイオフ症状(頭痛、皮膚症状の一時的悪化)が見られましたが、適切な解毒サポートにより1-2週間で軽快しました。

治療4ヶ月後 皮膚の柔軟性が回復し、2年間できなかった正座が可能になりました。これは皮膚のコラーゲン合成改善と炎症の軽減を示しています。

治療1年後 重金属デトックス治療も完了し、皮膚症状は著明に改善。ステロイド軟膏の使用頻度も大幅に減少し、維持治療としてのスキンケアのみで良好な状態を保てるようになりました。


治療費用(1年間の概算)

治療費用

  • 初診料:11,000円から
  • 血液検査(M-1):17,000円
  • 総合便検査:71,000円
  • 尿有機酸検査:55,000円
  • IgG食物アレルギー検査:約30,000円(外部検査機関)
  • 再診料(10回程度):110,000円
  • カンジダ除菌サプリ(2ヶ月):20,088円
  • カンジダ除菌薬(2ヶ月):40,000円
  • 消化不良サプリ(6ヶ月):19,440円
  • デトックスサプリ(2ヶ月):約27,000円
  • 超炎症修復サプリセット(3ヶ月):27,960円

総治療費:およそ41万円(1年間)

※上記費用は保険適用外の自由診療となります。 ※個人の症状や治療経過により、必要な検査・治療内容は異なります。

まとめ:アトピー改善のカギは「腸を診ること」

この症例は、20年以上続くアトピー性皮膚炎が腸カンジダの過剰増殖と重金属蓄積によって難治化していた典型例でした。

ステロイドや抗アレルギー薬だけでは改善できなかったのは、皮膚の炎症が「結果」であり、その背景に腸内環境や解毒機能の不調があったからです。

アトピーを根本から改善するには:

  • 腸内環境を整える(カンジダ除去、善玉菌補充、腸粘膜修復)
  • 栄養不足を補う(亜鉛・鉄・ビタミン)
  • 解毒機能を回復させる(重金属デトックス、肝臓サポート)

これらを並行して行うことが重要です。

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当院では 便検査・食物アレルギー検査・腸カンジダ評価 を組み合わせ、原因に合わせた個別治療をご提案しています。


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