食事が作れないほど悪化した副腎疲労の方へ|まず何を食べればいいのか?

副腎疲労と食事の関係
京橋ウェルネスクリニックには、
- 慢性的な疲労感
- 気分の落ち込み(うつのような症状)
- 朝なかなか起きられない
といった副腎疲労の症状で来院される患者さんが多くいらっしゃいます。
ただ、症状が強いと「病院に行く気力すらない」という方も少なくありません。通院できなければ検査や治療は受けられないため、まずは 診察に来られるだけの体力を取り戻すこと が第一の目標となります。
そのために大切なのが、食事で体に無理をさせないこと。
「しっかり自炊をしないと」と思うかもしれませんが、実際には副腎疲労が悪化している時期に自炊できる人はほとんどいません。
むしろ、中食(スーパーやコンビニの惣菜)、外食、デリバリーを上手に活用することや、家族に協力してもらうことが回復への第一歩になります。
基本的には「何を食べてもOK」
副腎疲労の患者さんに多いのは、「真面目で頑張り屋」な性格。
長年にわたり無理を重ねて、ようやく体が「もう走れない」と悲鳴をあげている状態です。
だからこそ今は、完璧な食事を作ることにこだわらず、手を抜くことが大切です。
理想的な栄養バランスを考えて自炊を続けるのは、ほとんどの方にとって現実的ではありません。
特に副腎疲労が「疲弊期」に入っている場合、
- ほとんど動けない
- それでも「何か口にしないと倒れてしまう」
そんな状態の方が大半です。
この段階では 「とにかく食べられるものを食べる」ことが最優先。
多少の添加物や人工甘味料を気にする必要はありません。もちろん、少ないに越したことはありませんが、「食べられないこと」こそ最大のリスクだからです。
できるだけ避けたい食品
ただし、症状をさらに悪化させやすい食品は控えましょう。
- ファーストフードやスナック菓子、ケーキなどの洋菓子
→ トランス脂肪酸や砂糖が多く、炎症や血糖値の乱高下を招きやすい - 小麦食品(パン・パスタなどグルテンが多いもの)
→ 腸内環境を悪化させ、栄養吸収を妨げることがある - 白砂糖
→ 血糖値を急激に上げ下げし、疲労感を強める要因に - ジュースやカフェイン飲料
→ 一時的に元気になったように感じても、その後の「反動疲労」を悪化させる
➤ ポイントは、「何を食べるか」よりも 「何を避けるか」 を意識することです。
無理なく続けられる範囲で、少しずつ食生活を整えていきましょう。
① 単身者の場合|コンビニ・スーパーで工夫する副腎疲労食
副腎疲労で一人暮らしをしている方や、単身赴任中の方にとって、毎日の食事づくりは大きな負担です。
気圧の変化や体調の波によっては、買い物や調理すら難しい日もあります。そんな時は無理せず、コンビニ・スーパー・デリバリーを頼りながら栄養を補うことが大切です。
コンビニ・スーパーで選びたいOK食品
- おにぎり(鮭・昆布・おかか・海苔など具入りのもの)
- 卵料理(ゆで卵、温泉卵、茶碗蒸し、卵豆腐)
- 豆製品(厚揚げ、冷や奴、納豆)
- おでん(大根、卵、ちくわ、さつま揚げなど)
- 和惣菜(筑前煮、煮魚、白和え、胡麻和え、酢の物、肉じゃがなど)
- 魚介系(サバ缶、チャーシュー、南蛮漬け)
- 冷凍野菜(ブロッコリー、ほうれん草など)
- 自然な間食(焼き芋、干しいも、甘栗、ナッツ、煮豆、フルーツ全般、寒天ゼリーなど)
→ 調理不要でそのまま食べられるものや、温めるだけで済むものを選びましょう。
避けたいNG食品
- サンドイッチ、パン、パスタ、ピザ
- ラーメン、うどんなど小麦麺
- 牛乳、飲むヨーグルト
- 炭酸飲料、清涼飲料水、ゼリー飲料
- 栄養ドリンク、スポーツドリンク
- ケーキなど砂糖の多いお菓子
これらは 血糖値を急激に上下させ、副腎疲労の回復を妨げる要因になります。
注意が必要な食品(食べ過ぎないほうがいいもの)
- ハム・ベーコン・ソーセージ:保存料や発色剤(亜硝酸Na)が腸内環境に悪影響。食べる場合は加熱・煮汁を捨てるなど工夫を。
- カット野菜:殺菌剤が残ることがあるため、できれば水洗いしてから食べる。
- 無糖ヨーグルト:カゼインの影響があるため、体調が安定している時に少量を。
- 野菜ジュース:無塩のトマトジュースなら可。市販品の多くは濃縮還元で糖分が多いため、生の野菜やフルーツの方が望ましい。
個人差がある食品
玄米:食物繊維が多く、消化力が落ちている時には負担になる場合がある。
カフェイン飲料:急にやめると禁断症状(頭痛・倦怠感)が出やすいので、減らす場合は医師と相談しながら。
お粥:消化は良いが、低血糖体質の人には逆効果になることも。

② ご家族がいる場合|協力してもらう工夫
副腎疲労が強い時期は、自炊がほぼ不可能な方も多いです。家族と同居している場合は、できるだけ協力をお願いすることが大切です。
基本の献立イメージ
- 主食:白米
- 主菜:魚や肉、卵料理
- 副菜:野菜(サラダ、温野菜、煮物、和え物)、海藻、きのこ
- 補助:種実類(ごま、ナッツ類)
※ 小麦製品(パン・ピザ・パスタ・うどん)はできるだけ避けましょう。
調理の工夫
- 甘味は白砂糖ではなくラカントを活用
- 出汁は**無添加のだしパックや粉末(煮干し粉・かつお節粉)**で簡単に
- 無理せず「市販の無添加だし」を利用してOK
補食の準備例
- 手作り補食:
- ミニサイズのおにぎり(そぼろやおかか入り)
- ボーンブロススープ(持ち運び用の水筒に)
- かぼちゃペーストを寒天で固めた羊羹風スイーツ
- ミニサイズのおにぎり(そぼろやおかか入り)

購入できる補食:
- 甘栗、干しいも
- 個包装のさつま揚げ
- プルーン
- 素焼きナッツ(無塩・無油)
- アミノ酸(BCAA)個包装タイプ

→ 小分け・個包装のものをストックしておくと、低血糖を防ぎながら少しずつ栄養補給できます。
副腎疲労に「補食」が必要な理由
副腎疲労の方にとって、間食(補食)は欠かせない栄養戦略です。
なぜなら、副腎から分泌されるホルモン「コルチゾール」には血糖値を安定させる働きがありますが、副腎疲労が進むとこのコルチゾールが不足し、血糖が下がりやすくなるからです。
血糖値が急激に下がると、次のような症状が出やすくなります。
- 強い疲労感・眠気
- 集中力の低下
- 急なイライラや不安感
- 動悸や冷や汗
これらは「低血糖症状」と呼ばれ、副腎疲労の悪化を加速させる要因になります。
補食のタイミング
副腎疲労の方は、食事と食事の間を空けすぎないことが大切です。
特に低血糖になりやすい時間帯は以下の2つ。
- 午前10時ごろ(朝食から時間が経って血糖が下がりやすい)
- 午後3〜4時ごろ(昼食からの空腹でエネルギー切れを起こしやすい)
この時間帯に軽く補食を取り入れることで、血糖の急降下を防ぎ、心身の安定につながります。
補食におすすめの食品
補食は「軽く食べられて、血糖値を安定させる」ことがポイントです。
魚肉ねり製品(ちくわ・さつま揚げなど)
→ そのまま食べられ、たんぱく質補給に便利

缶詰(サバ缶・ツナ缶など)
→ 原材料がシンプルなものが多く、ストック食材として優秀

煮豆(黒豆・うずら豆など)
→ 砂糖は多めですが、食物繊維が豊富で腹持ちが良い

- ナッツ類(アーモンド・くるみなど)
→ 食塩・油を使っていない「素焼きタイプ」を選ぶと安心 - 干しいも・甘栗
→ やさしい甘さで血糖を安定させやすく、持ち運びも可能
補食に不向きな食品

一方で、補食に選ばない方がよい食品もあります。
- スナック菓子
- ケーキや菓子パン
- 小麦製品全般(クッキー・クラッカーなど)
- 揚げ物やジャンクフード
これらは血糖を急激に上げ、すぐに下げてしまうため、かえって低血糖を悪化させてしまいます。
➤「副腎疲労の補食=低血糖を防ぐためのお守り」と考えるとわかりやすいです。
無理に我慢せず、少量ずつこまめに食べる習慣をつけましょう。
食欲が出ないときの工夫
副腎疲労が悪化していると、
- 「胃がもたれて肉が食べられない」
- 「固形物を受け付けない」
- 「低血糖を起こすのが怖くて食事が苦痛」
といった悩みを抱える方が少なくありません。
しかし、何も食べられないことこそ最大のリスクです。栄養失調が進むと回復どころか命に関わるケースもあります。
まずは無理せず食べやすいものから
「しっかり食べなきゃ」と思わず、食べられるものを少しずつでも摂ることが大切です。
- ゼリーや寒天:喉ごしがよく、少量でも糖質・水分補給ができる
- バナナ:消化が良く、エネルギー源として優秀
- そば湯(十割そばがおすすめ):アミノ酸やビタミン、ミネラルが溶け出しており、消化に優しい
特にそばに含まれる「ルチン」には抗炎症作用・血流改善作用が報告されています。
スープや煮込みで栄養を摂る

固形物がつらいときは、スープや煮込み料理の「汁」だけでも栄養補給が可能です。
- 野菜と肉を煮込んだスープ
→ 具を残しても、溶け出したアミノ酸やミネラルを吸収できる - 骨付き肉のスープ(ボーンブロス)
→ コラーゲンや良質なたんぱく質が豊富。消化吸収も良い - 魚の煮こごり
→ 骨や皮から溶け出したコラーゲンが固まったもので、胃腸への負担が少なく栄養価が高い
手軽に取り入れるなら、ゼラチンを使ったゼリーも良い方法です。ご家族がいれば、甘さ控えめの自家製ゼリーを作ってもらうのもおすすめです。
低血糖を避けるための工夫

副腎疲労があると、血糖値の乱高下が症状を悪化させる最大の要因になります。
食欲がないときでも、次のような工夫を取り入れてみましょう。
- GI値の低い食品を選ぶ
→ 白米のおにぎりでも「おかか・海苔付き」の方が血糖安定しやすい - 流し込む炭水化物は避ける
→ お粥は噛まずに食べられるため血糖が乱れやすい。少し水分を多めに炊いた白米の方が◎ - 清涼飲料水・スポーツドリンクはNG
→ スティックシュガー7本分以上の糖分が入っており、急激な血糖上昇→低下を引き起こす
➤「食べられないから無理に我慢する」のではなく、食べられる形に変えて少しずつ摂るのが回復のコツです。
ゼリーやスープだけでも「命をつなぐ栄養」になります。
動けるくらいに回復してきたら(回復食の実践)
- 「何を食べるか」より「何を避けるか」を意識(砂糖・精製炭水化物、カフェイン、加工食品、小麦や乳製品は控えめ)
- 極端な糖質制限はNG。副腎疲労では血糖維持が弱まるため、適量の糖質は必要
- 腸内環境と炎症コントロールを意識(グルテン/カゼイン/添加物は最小限、脂の質にも注意)
➤ 詳しくはこちらの記事で解説しています
「副腎疲労の食事治療|何を食べるかよりも何を食べないかが重要」
まとめ
副腎疲労の食事は 段階的に整えること”がポイントです。
- STEP1:とにかく食べられるものを食べて栄養をつなぐ
- STEP2:体力が戻ってきたら「避ける食品」を意識しつつ、腸と血糖を整える
無理のない工夫を積み重ねることで、回復への道がひらけます。
「食事改善を始めたいけど、何から手をつければいいかわからない…」
そんな方のために、京橋ウェルネスクリニックでは無料相談・栄養解析に基づいた治療プランをご用意しています。
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