273名の副腎疲労の患者様のアンケートから見る副腎疲労の症状

副腎疲労とコルチゾールの低下
副腎疲労では、副腎から分泌されるホルモン「コルチゾール」が低下し、体のさまざまな機能に影響を与えます。
昨年、宮澤医院を受診した 273名(男性82名・女性191名) の患者さんのアンケート結果からも、多くの方が共通した症状を訴えていました。
ここでは副腎疲労に特徴的な症状を整理し、なぜ起こるのかを解説します。
主な症状とその背景
1. 慢性的な疲労
副腎疲労の代表的な症状は、やはり強い疲労感です。
アンケートでも 75%以上が「疲れやすい」と回答していました。
- 以前は楽しかった趣味や活動もすぐに疲れて続けられない
- 休日も横になって過ごすことが増えた
- 少し動いただけで翌日まで疲労が残る
こうした状態は、単なる疲れやすいを超えて日常生活に大きな支障をきたします。
背景には コルチゾール低下によりエネルギー代謝が維持できなくなること、さらに細胞のエネルギー工場であるミトコンドリアの機能低下が関与しています。



疲れている人の多くは「甘いものが欲しくなる」という症状も一緒に抱えています。
いわゆる糖質依存ですが、原因はミトコンドリア機能の低下によるものが多いです。ミトコンドリアは体内のエネルギーの90%を以上を作っています。
ここが何らかの原因で動きが悪くなると、解糖系でエネルギーを作らなくてはなりません。解糖系がエネルギー源にできるのは糖質だけなのです。
また、コルチゾールが減ると体内の塩分が少なくなるため塩辛いものが欲しくなります。そして血糖値を刺激するためにカフェインを多く摂りたくなります。


疲労に伴う食の嗜好変化
副腎疲労の患者さんでは、単なる疲労感だけでなく「食の嗜好の変化」を訴える方も少なくありません。
- 「無性に甘いものが欲しくなる」
- 「塩辛いものをつい選んでしまう」
- 「コーヒーやエナジードリンクが手放せない」
といった症状がセットで出るケースが多く見られます。
その背景には次のようなメカニズムがあります。
甘いものを欲する理由
体内のエネルギーの9割以上はミトコンドリアで作られています。
しかし、副腎疲労が進むとミトコンドリア機能が低下し、脂質やタンパク質から効率よくエネルギーを生み出せなくなります。
その結果、糖質(ブドウ糖)だけをエネルギー源とする“解糖系”に依存せざるを得なくなり、甘いものへの渇望が強まるのです。
塩辛いものを欲する理由
コルチゾールには体内の塩分(ナトリウム)を保持する作用があります。
副腎疲労でコルチゾールが低下するとナトリウム保持力が弱まり、体が自然と“塩分を補おう”とするため、しょっぱい食品を欲する傾向が出てきます。
カフェインを摂りたくなる理由
血糖値を刺激して一時的に元気を出そうとする代償行為として、コーヒーや紅茶、エナジードリンクなどのカフェイン飲料に手が伸びやすくなります。
一時的にはシャキッとしますが、実際には副腎をさらに酷使してしまい、長期的には疲労を悪化させる要因になります。
➤このように、「甘いもの・塩分・カフェインへの欲求」は心の弱さではなく、体のSOSサインと考えることが大切です。
2. 不眠と起床困難
副腎疲労では「眠っても疲れが取れない」という相談が非常に多く寄せられます。
- 夜中に何度も目が覚める
- 眠りが浅く夢ばかり見る
- 朝になっても起き上がれない
これらは、夜間にコルチゾールが十分に分泌されず、血糖値が不安定になることが関係しています。

特に不安定になりやすいのはコルチゾールの働きが最も低下する夜中で、血糖値の乱高下が不眠症状を引き起こします。
血糖が急降下すると、体はアドレナリンを分泌して血糖を維持しようとします。その結果、心拍が上がり、眠りが妨げられてしまうのです。




➤ 翌朝は「体が鉛のように重い」「頭がぼんやりする」といった状態になり、1日のスタートが非常に困難になります
低血圧、低血糖
副腎ホルモンであるコルチゾールは、血圧と血糖を安定させる役割を持っています。
そのため、副腎疲労では以下のような症状が頻発します。
- 立ちくらみ、めまい
- 食事を抜くとフラフラする
- 急な動作で倒れそうになる


➤ これらは「低血圧」「低血糖」による症状です。
血圧が維持できず、さらに食間に血糖が下がりやすいため、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。
4. 心と体の緊張・イライラ
副腎疲労が進むと、血糖の不安定さをカバーするためにアドレナリンが分泌されやすくなります。
このアドレナリンは交感神経を強く刺激し、心と体の緊張を高めます。
- 以前は気にならなかったことが気になる
- ちょっとしたことで怒りっぽくなる
- 不安感や緊張感が強まる



➤ 「些細なことで怒りが爆発するようになった」という声も多く、本人も周囲も困ってしまうケースがあります。
胃腸の不調
副腎疲労の影響は消化管にも及びます。
緊張状態が続くと、自律神経のうち交感神経が優位になり、胃腸の運動は抑制されます。
- お腹の張り(膨満感)
- 消化不良
- 下痢や便秘の繰り返し



さらに、抗生剤の使用や砂糖過多の食事により、腸内でカンジダ菌が増殖しやすくなります。
➤カンジダが増えると腸のバリア機能が低下し、「リーキーガット症候群」を悪化させ、食物アレルギー症状の助長にもつながります。
性ホルモンへの影響
コルチゾールと性ホルモンは同じ材料(コレステロール)から作られています。
ストレスが強まると、体はコルチゾールの合成を優先するため、性ホルモンの分泌が後回しになります。
その結果:
- 女性ではPMSや生理痛の悪化
- 男女ともに性欲低下が頻繁に見られる



➤ 特に女性の性欲低下は、副腎疲労がステージ2以降に進んでいるサインであることが多いとされています。
脳機能の低下

副腎疲労では、集中力や記憶力の低下もよく見られます。
- 本を読んでも頭に入らない
- 考えがまとまらない
- 記憶力が落ちて仕事の効率が下がる
これは頻発する低血糖によってビタミンB群が大量に消耗し、神経伝達や認知機能に影響するためです。


➤患者さんからは「優柔不断になった」「頭がぼんやりして仕事が進まない」といった訴えもあります。
まとめ|副腎疲労は全身の不調に関わる
副腎疲労は、単なる「疲れ」ではありません。
脳・ホルモン・胃腸・自律神経など全身に広がる不調を引き起こします。
一時的に頭痛薬や胃腸薬で症状を抑えることは可能ですが、根本改善には 「副腎の機能評価」→「原因に応じた治療」 が必要です。
検査と治療の第一歩
- 唾液中コルチゾール検査で副腎と脳の疲労度を測定
- 血液検査や腸の状態評価と組み合わせ、個別の治療プランを設計
➤ 気になる症状が複数当てはまる方は、ぜひ一度ご相談ください。
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