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コラム

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マイコトキシン(カビ毒)が慢性疲労と若年性認知症を引き起こす

「いつも疲れている」「頭が働かない」…そんな不調の裏に潜む、カビ毒=マイコトキシンのリスクとは?

はじめに

「慢性的な疲労が続いている」「眠れない」「物忘れが増えた」──こうした症状の原因として、あまり知られていないのが マイコトキシン(カビ毒) です。

マイコトキシンはカビ(真菌)が産生する毒素の総称で、食品や住環境を通じて体内に入り込みます。熱に強いため、加熱しても残りやすく、気づかないうちに摂取してしまう厄介な毒素です。

例えば、カビの生えやすい 小麦・大麦などの穀物、ナッツ類、乾燥果実、さらには 汚染された飼料を食べた牛や豚の肉や牛乳 からも取り込まれる可能性があります。
また、日本のように湿気の多い環境では、住宅や食品保存の問題から、日常的に暴露してしまうリスクが高まります。

マイコトキシンは、細胞膜やミトコンドリア(体のエネルギー工場)を傷つけ、活性酸素の発生や慢性炎症を引き起こします。その結果、慢性疲労・不眠・環境過敏症・認知機能低下など、全身にさまざまな症状をもたらすことが分かってきました。

マイコトキシンとは?(カビ毒の正体)

どんな食品に含まれる?

  • 穀物(小麦、大麦、トウモロコシなど)
  • ナッツ類や乾燥果実
  • 汚染された飼料を食べた牛や豚の肉、牛乳
  • コーヒー豆やカカオ
  • ビールやワインなどの発酵食品、香辛料

➤ 特に 輸入食品や湿気に弱い保存食品 に注意が必要です。見た目や匂いで判断できないため、「知らないうちに摂取している」ことも珍しくありません。

日本でも増えるリスク

日本は湿度が高く、近年は住宅の気密性も高まっているため、カビやカビ毒が発生しやすい環境です。
「うちは清潔だから大丈夫」と思っていても、保存環境や食材の原産地によっては誰でも影響を受ける可能性があります。


マイコトキシンの種類と特徴

マイコトキシンには300種類以上が知られていますが、その中でも人体に影響を及ぼす「有害性の強いカビ毒」は限られています。
特に食品や飼料を通じて摂取されやすいものは以下の通りです。

主なマイコトキシンと含まれる食品

  • アフラトキシン
     ナッツ類、穀類、落花生、トウモロコシ、乾燥果実、牛乳(飼料由来)
     →もっとも強い発がん性を持つカビ毒とされ、国際がん研究機関(IARC)も「グループ1(発がん性あり)」に分類しています。
  • オクラトキシン
     穀類、豆類、乾燥果実、コーヒー豆、カカオ
     → 腎臓への毒性が強く、長期的な腎機能障害のリスクがあります。
  • トリコテセン類
     麦類や豆類に含まれる。
     → 嘔吐や下痢、免疫機能低下などを引き起こす可能性がある。
  • フモニシン
     トウモロコシ加工品に多い。
     → 神経毒性があり、脳や神経への影響が指摘されています。
  • パツリン
     リンゴやリンゴ加工品(ジュースなど)に含まれる。
     → 食欲不振や吐き気を引き起こす。
  • ゼアラレノン
     家畜の飼料を通じて肉類に残留することがある。
     → 女性ホルモンに似た作用を持ち、ホルモンバランスの乱れを引き起こす可能性がある。

注意すべきポイント

「オーガニック食品だから安全」とは限らず、保存状態や流通過程が重要です。

マイコトキシンは目に見えないため、食品の見た目や匂いでは判断できません。

日本でも輸入ナッツや乾燥果物、コーヒー豆などから検出例が報告されています。


マイコトキシンによる主な症状

マイコトキシン(カビ毒)は、体の中で炎症を起こしたり、エネルギーを作るミトコンドリアを傷つけたりするため、全身に幅広い不調をもたらします。
代表的な症状をまとめると次の通りです。

慢性疲労・倦怠感

最も多いのが「疲れがとれない」という訴えです。

  • しっかり休んでも疲労感が抜けない
  • 午後になると強い眠気やだるさに襲われる
  • 以前楽しめていた趣味や運動ができなくなった

➤ これはマイコトキシンがエネルギー工場であるミトコトンドリアを障害し、細胞レベルでエネルギーが作れなくなるために起こります。

不眠・睡眠障害

マイコトキシンはホルモンバランスを乱し、睡眠の質を低下させます。

  • 夜中に何度も目が覚める
  • 夢ばかり見てぐっすり眠れない
  • 朝起きても疲れが残っている

➤これは、炎症により脳内ホルモン(メラトニン)の産生が減少することや、血糖コントロールが乱れることが関与しています。

環境過敏症

マイコトキシンによって肝臓の解毒能力が落ちると、化学物質やにおいに敏感になることがあります。

  • 香水や洗剤のにおいで気分が悪くなる
  • 新しい家具や建材のにおいで頭痛が出る
  • 以前は平気だった環境で体調が悪化する

➤これは「環境過敏症」と呼ばれ、カビ毒による大きな特徴のひとつです。

神経・脳への影響

マイコトキシンは脳に炎症を引き起こし、認知機能の低下につながることがあります。

  • 集中できない
  • 物忘れが増えた
  • 頭がぼんやりして考えがまとまらない

➤研究では、若年性アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経疾患とカビ毒の関連も報告されています。

💡 このように、マイコトキシンによる症状は「疲れ」「眠れない」「頭が働かない」といった日常的なものから、慢性疲労症候群や認知症など深刻な病気まで幅広く関与している可能性があります。


カビ毒による体の炎症が続いてしまう状態(CIRS)

マイコトキシンが体内にたまると、免疫が「敵を排除しなければ!」と働き続けてしまいます。
しかし、毒素を完全に排出できないため、炎症のスイッチが入りっぱなしの状態になります。
これを医学的に CIRS(Chronic Inflammatory Response Syndrome:慢性炎症反応症候群) と呼びます。

CIRSの状態では、体が常に炎症と戦っているため、次のような症状が現れます。

  • 頭痛・筋肉痛
  • 強い疲労感
  • 集中力の低下、思考の鈍化
  • 気分の落ち込み、不安感

➤「休んでもよくならない疲れ」や「原因不明の体調不良」の背景に、このCIRSが隠れていることがあります。

サイトカインと脳への影響

マイコトキシンによる炎症では、サイトカインという炎症物質が大量に放出されます。
サイトカインは本来「免疫の司令塔」として働きますが、過剰になると脳にも悪影響を与えます。

具体的には:

  • MSH(メラノサイト刺激ホルモン)の産生低下
     → 睡眠ホルモン(メラトニン)が減少 → 不眠につながる
     → エンドルフィンが減少 → 慢性的な痛みを感じやすくなる
  • ADH(抗利尿ホルモン)の低下
     → 夜間の頻尿が増える(カビ毒に特徴的な症状のひとつ)
  • 性ホルモン・コルチゾールの異常
     → ホルモン分泌の乱れ → 疲労・気分の不安定さ・免疫低下につながる

➤ つまり、マイコトキシンによる炎症は「ただの疲れ」ではなく、ホルモンバランス・睡眠・痛み・排尿まで広く影響する全身性の問題を引き起こすのです。


アルツハイマー病とCIRSの関係

近年の研究では、マイコトキシン(カビ毒)が認知症の一部に深く関わっていることが分かってきました。

アメリカの神経学者 Bredesen(ブレデセン)博士 は、あるタイプの若年性アルツハイマー病患者の多くが、マイコトキシンなどの有害物質に長期間さらされていたことを報告しています。

このタイプは「3型アルツハイマー病」と呼ばれ、特徴は次の通りです。

  • 発症年齢が比較的若い(50歳前後)
  • 記憶力低下よりも「集中できない」「思考がまとまらない」といった症状が目立つ
  • 家族歴(遺伝)よりも「環境因子(毒素暴露)」の影響が大きい

ブレデセン博士の報告では、3型アルツハイマー病と診断された最初の患者6名全員に、マイコトキシンを含む有害物質への暴露歴が確認されました。
さらに、適切な解毒や環境改善を行ったところ、一部の患者で認知機能の改善がみられたとされています。

認知症リスクとしてのマイコトキシン

  • 脳に炎症を引き起こす
  • ホルモンバランスを乱す
  • ミトコンドリア機能を障害し、神経細胞のエネルギー不足を招く

➤ こうした仕組みが重なり、長期的には「認知機能の低下=認知症リスク」につながると考えられています。


なぜ人によって症状が出るのか?〜体質と遺伝子の違い〜

同じようにマイコトキシン(カビ毒)にさらされても、強い症状が出る人と、ほとんど影響を感じない人がいます。
この違いには「体質=遺伝子の特徴」が関係していると考えられています。

HLA遺伝子とは?

HLA遺伝子(ヒト白血球抗原遺伝子)は、免疫の働きをコントロールする遺伝子です。
体に入った異物や毒素を「敵」として認識し、排除するよう指示を出す重要な役割を持っています。

➤ ところが、HLA遺伝子のタイプによっては「カビ毒をうまく排出できない」体質の人がいます。
この場合、マイコトキシンが体に溜まりやすくなり、慢性疲労や自己免疫疾患、認知症のリスクが高まります。

体質による違いの例

  • HLA DR/DQ 4-3-53タイプ
     疲れやすく、うつ症状が出やすい
  • HLA DR/DQ 11-3-52Bタイプ
     関節や筋肉の病気、自己免疫疾患にかかりやすい

実際に、若年性アルツハイマー病患者の多くから(8名中6名)こうしたHLA遺伝子の特徴が見つかっています。

また、この体質の方はグルテン(小麦などに含まれるタンパク質)に対してもアレルギー反応を起こしやすいことが分かっています。また、HLA異常はグルテンに対するグリアジン抗体産生とも関連があることが分かっています。


マイコトキシンの検査方法

「疲労が続いているけれど原因がわからない」「カビ毒が関係しているか知りたい」という場合には、検査を受けることで体内の状態を確認できます。

尿中マイコトキシン検査

尿に含まれるマイコトキシンの量を測定することで、体にどれだけカビ毒がたまっているかを調べます。

  • 海外の検査機関(例:グレートプレーンズ社)では複数種類のマイコトキシンを定量的に測定可能
  • 通常は少量しか出てこないため、グルタチオンなどの解毒補助物質を数日投与してから検査を行う「負荷検査」で、より正確に評価できます

➤検査の結果、体外への排出が不十分であることが確認できれば、デトックス療法や食事改善など治療方針を立てやすくなります。

HLA遺伝子検査

「なぜ自分だけ強く症状が出るのか?」という疑問に答えてくれるのが HLA遺伝子検査 です。

  • HLA遺伝子のタイプによっては、マイコトキシンをうまく排出できず体に蓄積しやすい
  • 慢性疲労症候群、副腎疲労、線維筋痛症、自己免疫疾患などを持つ人は、HLA遺伝子異常が見つかることが少なくありません

➤この検査を行うことで「解毒が苦手な体質かどうか」が分かり、生活改善や治療の方向性を個別に決められるようになります。


マイコトキシンの治療・予防方法

マイコトキシン(カビ毒)の影響を減らすには、「体の外に出す」「ホルモンの乱れを整える」「再び入れない」の3つが大切です。

1. デトックス療法(体の外に出す)

マイコトキシンは自然に排出されにくいため、吸着剤やデトックス法を使います。

  • 医薬品:コレスチラミン、コレバインなど → 腸で毒素を吸着して体外に排出
  • 自然素材:活性炭、クロレラ、クレイ(粘土由来成分)など → サプリメントとして利用されることもあります
  • 生活法:サウナ・汗をかく習慣、空気清浄機の使用 → 体内の負担を減らす

➤ 医師の指導のもとで行うのが安全です。自己流で大量に摂取するのは逆効果になることもあるので注意しましょう。

2. ホルモンの乱れを整える

マイコトキシンによる炎症は、睡眠ホルモン(メラトニン)、副腎ホルモン(コルチゾール)、性ホルモンなどを乱します。

  • 睡眠障害が強い人 → メラトニンの補助や睡眠リズムの調整
  • 副腎疲労がある人 → サプリ(ホスファチジルセリン、ロディオラなど)で副腎ケア
  • 性ホルモンの乱れ → 栄養療法や漢方などでサポート

➤ ホルモンバランスは個人差が大きいため、検査で確認しながら個別に調整することが大切です。

3. 食事と生活習慣の改善

マイコトキシンは「入れない工夫」と「排出を助ける食事」の両方が必要です。

避けたいもの(腸を荒らす食品)

  • 加工食品・添加物が多い食品
  • 小麦(グルテン)、乳製品(カゼイン)
  • 精製糖(砂糖、はちみつなど)

積極的に摂りたいもの(炎症を抑え・解毒を助ける食品)

  • にんにく、玉ねぎ、ニラ、パクチー → 解毒作用をサポート
  • 青魚(DHA・EPA) → 抗炎症作用
  • ハーブやスパイス(ターメリック、生姜、ローズマリー、オレガノ) → 炎症を鎮める
  • 発酵食品(納豆、味噌、キムチなど)+水溶性食物繊維(海藻、きのこ) → 腸内環境を整える

加熱の重要性
肉や牛乳などの食材はしっかり加熱することが基本です。残念ながらマイコトキシンは熱に強く、加熱しても完全に分解されず食品中に残ってしまうことが研究でも報告されています(米国国立医学図書館 PubMed, 2014)。
それでも、加熱によって量を減らすことは可能なので、必ず十分に火を通して食べることを意識しましょう。

生活でできる工夫

  • 食材は湿気の少ない場所で保存し、長期保存は避ける
  • 牛乳・肉は開封後すぐに使い切る
  • 水分をしっかりとり、排泄を促す

食事療法でできるマイコトキシン対策

マイコトキシン(カビ毒)は目に見えないため、完全に避けるのは難しいですが、日々の食事と保存方法を工夫するだけでリスクを減らすことができます。

1. 食材の加熱・保存に注意

  • 肉や牛乳などはしっかり加熱してから摂りましょう。
     ➤ マイコトキシンは熱に強く「加熱しても完全には消えない」ことが研究で報告されています(米国国立医学図書館 PubMed, 2014)。https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24915313
     それでも加熱で量を減らすことはできるため、必ず十分に火を通すことが大切です。
  • 保存は湿気を避け、開封後は早めに食べ切るのが基本です。
     ➤ 特に輸入ナッツや乾燥果物などはカビ毒が発生しやすいため注意しましょう。

2. 腸内環境を整える

腸は「体を守る関門」のような存在です。腸内環境が乱れると、本来は排出されるはずの毒素まで吸収してしまい、炎症や免疫低下を悪化させます。

腸に負担をかけやすい食品(できるだけ控える)

  • 加工食品・添加物(ハム、カニかま、冷凍食品、カップ麺など)
  • 小麦に含まれるグルテン(パン、パスタ、うどん)
  • 乳製品に含まれるカゼイン(牛乳、ヨーグルト、チーズ)
  • 精製糖(砂糖、はちみつ) → カンジダ菌を増やして腸内環境を乱す

3. 炎症を抑える食品を取り入れる

マイコトキシンは体内に「慢性的な炎症」を引き起こしやすいため、抗炎症作用のある食材を意識しましょう。

  • ココナッツオイル
  • ハーブ・スパイス(オレガノ、ローズマリー、生姜、にんにく、ターメリックなど)
  • 青魚(さば、いわしなどに含まれるDHA・EPA)

➤ ただし青魚は水銀のリスクもあるため「食べすぎない」ことも大切です。

4. 解毒を助ける食品

体に入ってしまったマイコトキシンを効率よく排出するために、解毒作用のある野菜を取り入れましょう。

  • にんにく
  • 玉ねぎ
  • ニラ
  • 長ネギ
  • パクチー

これらには硫黄化合物が含まれ、有害物質と結合して体外に排出するのを助けます。

5. 水分補給を忘れずに

水分が不足すると、毒素を尿や汗として外に出せなくなります。
普段から意識して水を飲み、体のデトックス機能をサポートしましょう。

💡 ポイントまとめ

  • 「入れない工夫(保存・加熱・食品選び)」と「出す工夫(腸内環境・解毒・水分)」を両立することが重要
  • 完璧に避けることは難しいので、日常の小さな積み重ねがマイコトキシン対策になります

まとめ

マイコトキシン(カビ毒)は、慢性疲労や不眠、集中力の低下から、認知症リスクまで関わる可能性のある見えない毒素です。
食品や住環境を通じて知らないうちに体に入り込み、腸内環境や免疫の弱りと重なることで、症状が強く出やすくなります。

  • 「疲れが抜けない」「頭がぼんやりする」
  • 「夜中に何度も目が覚める」
  • 「香りや化学物質に敏感になった」

こうした症状が続く場合、原因は単なるストレスや加齢だけでなく、マイコトキシンの影響かもしれません。
検査や食生活の改善で原因を明らかにし、早めに対策を始めることが、回復への近道になります。

ご相談・ご予約

京橋ウェルネスクリニックでは、

  • 尿中マイコトキシン検査
  • HLA遺伝子検査
  • 腸内環境改善プログラム

などを通じて、原因を見極めたうえで最適な治療をご提案しています。

「もしかして自分も…?」と思ったら、ぜひ一度ご相談ください。

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