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コラム

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発達障害の食事療法|有害な食べ物を除去し、腸から改善するアプローチ

京橋ウェルネスクリニックには、発達障害を抱えるお子様のご相談が多く寄せられます。
多動がある、人と目を合わせられない、集団行動が難しいなど、症状はさまざまです。

薬やリハビリも大切ですが、発達障害の改善で見落とせないのが「食事」です。
中でも重要なのは、腸に負担をかける「有害な食べ物」を取り除き、腸を守ること。

この記事では、発達障害のお子様にとって食事療法がなぜ重要なのか、そして最初に除去すべき食品について解説します。

腸と発達障害の深い関わり

食べ物は消化酵素によって細かく分解され、腸から吸収されます。
腸は単なる「通り道」ではなく、体づくりや脳の働きに直結する“栄養の玄関口”です。

腸から吸収されたビタミン・ミネラル・アミノ酸は血液を通って全身に運ばれ、神経伝達物質やホルモンの材料となります。もし腸の働きが弱ければ、必要な栄養素が脳に届かず、落ち着きのなさや集中力の低下につながることがあります。

実際に発達障害のお子様には「消化酵素の不足」や「腸粘膜の弱さ」が多く見られ、未消化の食べ物が腸に炎症を起こすケースが少なくありません。その結果、リーキーガット症候群(腸漏れ)が進み、毒素やアレルゲンが血流に流れ込み、行動や情緒に影響を及ぼします。

だからこそ、腸を元気にする食事療法は、栄養吸収の改善だけでなく、感情の安定や集中力の向上につながる「土台作り」になるのです。


有害食品① グルテンとカゼイン

発達障害のお子様にまず取り組んでいただきたいのは、グルテン(小麦たんぱく)とカゼイン(乳たんぱく)の除去 です。
これらは分解に時間がかかり、腸に未消化のまま残りやすく、腸粘膜を刺激して炎症を引き起こします。

さらに、分解途中でできる「ペプチド」にはモルヒネ様作用があり、脳の働きや感情の安定に影響するとも言われています。
海外の研究でも、ASD(自閉症スペクトラム障害)の子どもにグルテン・カゼインフリー食を導入したところ、言語能力や睡眠、落ち着きに改善が見られたと報告されています。
実際に「パンをやめたら多動が落ち着いた」「牛乳をやめたら夜ぐっすり眠れるようになった」という臨床例も多く、まず試してみる価値があります。


ペプチドが腸を傷付ける

通常、胃酸と消化酵素ペプシンの働きでたんぱく質は「ペプチド」に分解され、小腸に運ばれてから「アミノ酸」にまで分解され、初めて吸収されます。
しかし胃酸や酵素が不足すると「ペプチド」のまま腸に到達し、腸粘膜を刺激して炎症を起こしてしまいます。

この状態が続くと腸粘膜が壊れ、リーキーガット症候群(腸漏れ)につながります。さらに未消化タンパク質は腐敗し、悪玉菌を増やして腸内環境を悪化させる要因にもなります。


赤ちゃんの腸は特に未成熟

赤ちゃんの腸は未成熟で、母乳や乳児用ミルク以外のたんぱく質を分解する酵素が十分に整うのは 生後1年頃から と言われています。
ところが、生後5〜6か月で早く離乳食を始めてしまうと、腸に大きな負担となり、炎症や食物アレルギーを引き起こすことがあります。


IgG検査と食事の工夫

食物アレルギーの有無を確認する方法のひとつが IgGフードアレルギー検査 です。
多くの食品で反応が出る場合は腸粘膜の弱りを示している可能性があります。

対応の基本は、完全除去ではなく 頻度を減らす・ローテーションする こと。成長期のお子様に必要な栄養を守りながら、腸が回復すれば反応する食品も自然と減っていきます。
また、必要に応じて消化酵素サプリを取り入れると、腸内環境の改善につながる場合もあります。

→ まずは「ステップ除去」から始めてみましょう。
最初の2週間は小麦を抜き、その後に乳製品を外すという流れがおすすめです。


有害食品② 砂糖と人工甘味料

砂糖や人工甘味料も腸に大きな負担をかけます。

砂糖は「カンジダ菌」のエサとなり、腸内環境を悪化させます。
カンジダはアルコールやホルムアルデヒドといった毒素を産生し、これが神経を刺激して集中力低下や感情の不安定さを招きます。
「甘いものをやめられない」という行動自体が、腸内カンジダのサインであることもあります。

一方で人工甘味料(アスパルテームなど)には「アスパラギン酸」「フェニルアラニン」が含まれ、神経を過剰に興奮させる作用があります。ゼロカロリー飲料やダイエット食品は要注意です。→ 糖質を完全にカットする必要はありません。
お米や芋など自然なでんぷんを主食にし、砂糖や小麦を控えるだけで大きな変化が期待できます。
甘みは羅漢果や本みりんで代用し、間食は果物や干し芋など自然な食品を工夫してみましょう。


有害食品③ MSG(グルタミン酸ナトリウム)とアスパラギン酸

神経を興奮させる食品

発達障害のお子様にとって気を付けたいのが、神経を過剰に興奮させる食品添加物です。代表的なものが グルタミン酸ナトリウム(MSG)アスパラギン酸 です。

MSG(グルタミン酸ナトリウム)

「MSG(グルタミン酸ナトリウム)」は、うま味調味料として加工食品に広く使われています。
パッケージには「調味料(アミノ酸等)」と表記されることが多いため、気づかずに摂取してしまうケースも多いでしょう。

MSGは脳に「おいしい」と感じさせる強い刺激を与えるため、中毒性があります。カップ麺やスナック菓子、レトルト食品を常食すると、本来の自然な味(野菜や米など)を美味しいと感じにくくなり、さらに加工食品に依存する悪循環が起こります。

実は、グルタミン酸そのものは天然のうま味成分であり、昆布やトマト、チーズなどにも多く含まれています。体内でも重要な神経伝達物質として働き、記憶や学習に関わる役割を持ちます。
問題なのは「添加物として外から大量に摂取すること」なのです。

発達障害のお子様は、脳内でグルタミン酸が過剰に分泌されやすい傾向があります。そこにMSGを加えると、さらに神経の興奮が強まり、多動や情緒不安定、言語発達の遅れを悪化させることがあります。

また、本来なら余分なグルタミン酸は「GABA」という抑制系の神経伝達物質に変換されます。ところが、過剰すぎるグルタミン酸はGABAへの変換が阻害されるため、発語や会話能力に影響するリスクがあるのです。

MSGが含まれる代表的な食品

  • 出汁入りの味噌や醤油
  • 顆粒や液体のインスタントだし
  • ポン酢や麺つゆ、ドレッシング
  • カップ麺やインスタント味噌汁
  • 市販の焼肉のたれやレトルト食品

無添加のだしや調味料を選ぶ、外食時は無化調レストランを利用するなど、小さな工夫で摂取量を大幅に減らせます。

天然食品中のグルタミン酸含有の参考文献
https://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/0216.html


アスパラギン酸と人工甘味料アスパルテーム

次に注意したいのが アスパラギン酸
もともとはアスパラガスや大豆、かつおなど自然の食材にも含まれるアミノ酸ですが、神経伝達物質として「興奮性」に働くため、過剰に摂ると脳に負担をかけます。

特に問題なのが、人工甘味料 アスパルテーム です。これは「アスパラギン酸」と「フェニルアラニン」から作られた合成甘味料で、ダイエット飲料やゼロカロリー食品によく使われています。

発達障害のお子様はもともと神経が過敏なことが多く、こうした添加物を摂ると多動や集中力低下を引き起こすことがあります。

→ ポイントは「天然のアスパラギン酸はバランスよく摂ってOK。ただし添加物としてのアスパルテームは避ける」ということです。


まとめ

  • MSGは加工食品依存を招き、神経を過剰に刺激する
  • 発達障害の子どもはグルタミン酸過剰が悪影響を及ぼしやすい
  • アスパラギン酸自体は必須アミノ酸だが、人工甘味料アスパルテームの摂取は避けるべき

「うま味調味料入りの加工食品やゼロカロリー飲料をやめ、天然の出汁や自然な甘みを選ぶ」――これだけでも脳の負担を大きく減らせます


有害物質④ 水銀や環境毒素

食べ物以外の有害物質にも注意が必要です。

水銀

マグロやクジラなどの大型魚は食物連鎖の上位にあり、水銀を多く蓄積しています。妊娠中や授乳期の母親が多量に摂取すると、胎児や乳児に移行してしまうため要注意です。

歯科治療で使われる「アマルガム」も約50%が水銀でできており、噛む・飲むなどの刺激で少しずつ体内に取り込まれる可能性があります。

調理器具・容器

アルミ鍋や銅製調理器具、プラスチック容器・ラップからも有害物質が溶け出すことがあります。電子レンジでの使用は特に注意が必要です。

→ 対策としては、「小型魚を選ぶ」「無添加ラップや耐熱容器を使う」「天然素材を選ぶ」など、できることから生活を変えていきます。


実践ステップ|一度に全部は難しいからこそ

ここまで読むと「やることが多すぎて無理」と思う方もいるかもしれません。
でも大切なのは 一度に全部やらなくていい ということです。

おすすめは以下のステップ方式です。

  1. まずは「グルテン・カゼインフリー」を2週間試す
  2. 次に「砂糖・人工甘味料」を控える
  3. 慣れてきたら「MSGや加工食品」を避ける

少しずつでも続けることで、子どもの行動や気分の変化を感じられるようになるはずです。


栄養不足を防ぐ工夫

食事制限をするときに心配なのが「栄養不足」です。
特に成長期のお子様はエネルギーと栄養が十分に必要です。

  • おやつは果物やさつまいも、ナッツなど自然食品に
  • 甘みは羅漢果や本みりんで代用
  • 家に加工食品や市販のお菓子を置かない
  • 家族全体で同じ食事を心がける

→ こうした環境作りが、食事療法を無理なく続けるコツです。


まとめ|腸を整えることが発達支援の第一歩

  • 発達障害の食事療法の基本は 有害な食べ物を除去すること
  • 特に「グルテン・カゼイン」「砂糖・人工甘味料」「MSG」「水銀」には注意
  • 腸を整えることが脳の発達や行動の安定につながる
  • 一度に全部ではなく、優先順位をつけて少しずつ実践することが大切

参考文献
「発達障害の子供では、GABAとグルタミン酸のアンバランスが神経の炎症を起こしている」
「自閉症スペクトラム障害児のためのグルテンおよびカゼインを含まない食事介入の研究」
● 発達障害の子どもが変わる食事 ジュリー マシューズ (著)

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、治療の代替にはなりません。体質や症状は人によって異なるため、実践される際は必ず医師にご相談ください。


まとめ:専門医と一緒に取り組みましょう

発達障害のお子様の食事療法は、年齢・腸の状態・アレルギーの有無によって優先順位が変わります。

京橋ウェルネスクリニックでは、腸内環境やフードアレルギー検査を行い、お子様に合わせた最適な食事プランをご提案しています。

「何から始めればいいかわからない」「自己流でやって不安」という方は、ぜひ一度ご相談ください。

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