不妊治療中にカンジダ検査は必要?|腸カンジダとミトコンドリアの深い関係

不妊治療を受けている方からよくいただくご質問のひとつが、
「カンジダ検査は必要ですか?」というものです。
特に、
- 「子宮フローラは問題ないが、腸内フローラも調べるべき?」
- 「腸カンジダが妊娠に影響するの?」
といった疑問を持つ方が多いです。
結論から言うと、腸カンジダの症状がある場合は検査を強くおすすめします。
その理由を3つの視点から解説します。
理由①|腸フローラと膣フローラは一致しない
膣内フローラの検査は重要です。なぜなら、膣内カンジダは精子の運動能力を低下させる可能性があるからです
カンジダ感染が精子の機能を低下させる可能性
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19400990/
しかし実は、腸カンジダも膣カンジダと同等、あるいはそれ以上に不妊と関係しています。
腸カンジダは誰でも少量は持っていますが、過剰に増殖しているかどうかは検査しないとわかりません。
特にカンジダ・アルビカンスは腸粘膜に強く付着するため、便検査では検出が難しいのです。
そこで有効なのが 有機酸検査。カンジダそのものではなく「産生物」を測定することで、増殖を推定できます。
「有機酸検査のマーカー例(3番・6番・7番)」
→ これらが1つでも高いと、カンジダ増殖の可能性あり。

理由②|カンジダはミトコンドリア機能を低下させる
腸カンジダが多い人は、エネルギーを生み出すミトコンドリアの働きが落ちやすいことがわかっています。

「当院データ|カンジダ陽性と陰性でのコハク酸上昇率比較」
当院の有機酸検査データでは、
- カンジダマーカーが陰性の人:7%がコハク酸上昇
- カンジダマーカーが陽性の人:62%がコハク酸上昇
という結果が出ました(2024年4〜5月/48名のデータ)。

コハク酸の上昇は、クエン酸回路のコハク酸デヒドロゲナーゼの働きが弱っているサインです。
この酵素は電子伝達系の一部であり、人のエネルギー産生の要。
つまり、腸カンジダが増えると、
- 慢性的なエネルギー不足
- 疲労感や集中力低下
といった症状につながりやすいのです。

理由③|ミトコンドリア機能とAMHは関連する
不妊治療において重要な指標が AMH(抗ミューラー管ホルモン) です。
AMHは卵子の残り数を示すマーカーで、低いと妊娠率や治療効率に影響します。
一般的には年齢とともに低下しますが、実はミトコンドリアDNAの数とも強く関連していることが研究で明らかになっています【PubMed:36224631】。
図解挿入③:「AMHとミトコンドリアDNA数の相関イメージ」
つまり、腸カンジダによるミトコンドリア機能低下は、AMH値にも影響し、不妊治療の成果を左右する可能性があるのです。
年齢に関係なくAMHはミトコンドリアのDNAの数と関連する
ミトコンドリアのDNA が減少するにつれて AMHレベルも低下した
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36224631/
不妊治療を行う人は、ぜひミトコンドリア機能を高める治療や生活習慣も取り入れることをお勧めします。
まとめ|腸カンジダは「妊娠力」に直結する
- カンジダはミトコンドリア機能を低下させる
- ミトコンドリア機能はAMH(卵子残存数)と深く関係している
- 子宮フローラに異常がなくても、腸カンジダが隠れているケースは多い
こんな症状がある方は要注意です:
- 疲れやすい
- 甘いものがやめられない
- 集中力が続かない
- 低血糖になりやすい
- お腹が張りやすい
こうした場合は、有機酸検査で腸カンジダとミトコンドリア機能の両方を確認することをおすすめします。
宮澤医院では、10年以上にわたり有機酸検査とカンジダ治療を行ってきました。
不妊治療を進める中でのカンジダやミトコンドリアの不調が気になる方は、ぜひご相談ください。