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精神疾患

内科

うつ病、ADHD(注意欠如・多動症)、認知症などの精神疾患が年々増加傾向にあります。

厚生労働省によれば、うつ病の有病率は約15人に1人とされ、ADHDは子どもだけでなく成人にも多く見られるようになりました。また、高齢化に伴い認知症も社会的な課題として注目されています。

これらの精神疾患に対しては、主に薬物療法が行われますが、すべての人に効くわけではありません。また、長期的な服用に対する不安や副作用の問題も無視できません。

精神疾患の背景にある「脳の栄養不足」

脳は、体重の約2%しかないのにエネルギー消費量は全体の20%にも達します。それだけ、脳は多くのエネルギーと栄養素を必要とする臓器です。精神の安定や思考、記憶、感情のコントロールは、すべて脳の細胞同士のやりとり=「神経伝達」によって成り立っています。

脳が正常に機能するためには、以下のような栄養素が不可欠です:

  • ビタミンB群:エネルギー代謝や神経伝達物質の合成に必要。特にB6、B12、葉酸は脳内のホモシステイン(神経毒性のある物質)を代謝するのに重要。
  • 鉄・亜鉛・マグネシウム:神経伝達物質(ドーパミンやセロトニンなど)の合成や神経の興奮抑制に関与。
  • アミノ酸(トリプトファン、チロシンなど):神経伝達物質の材料となる。
  • 脂質(特にオメガ3脂肪酸):脳細胞の膜構造や抗炎症作用に関与。

例えば「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンは、トリプトファンというアミノ酸から合成されますが、この過程にはビタミンB6や鉄、マグネシウムが必要です。こうした補因子が不足すると、セロトニンの合成は滞り、気分の落ち込みや不安感につながる可能性があります。

同様に、集中力ややる気に関わるドーパミンも、チロシンというアミノ酸と鉄・亜鉛などの助けがなければ十分に作れません。

また、慢性的なストレスは副腎を疲弊させ、ビタミンCやマグネシウムを大量に消費します。また、ストレスによって腸内環境が乱れると、栄養素の吸収が低下したり、腸で合成されるセロトニンが減少したりします。実際、セロトニンの約90%は腸で作られており、腸と脳は「腸脳相関」と呼ばれる深い関係を持っています。

主な精神疾患と分子栄養学的アプローチ

精神疾患の多くは、脳の神経伝達やエネルギー代謝の異常に関連しており、栄養のアンバランスがそれに深く関わっていると考えられています。ここでは、発達障害・ADHD、うつ病、認知症について、分子栄養学の視点からその特徴と対策を見ていきます。

発達障害・ADHD:ドーパミンとミネラルの関係

発達障害やADHDの症状には、集中力の低下、多動、衝動性、感情のコントロールの難しさなどがあります。これらは、ドーパミンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の機能低下と関係が深いとされます。

例えば、鉄・亜鉛はドーパミン合成の鍵となるミネラル。多くのADHD児に鉄欠乏や亜鉛不足が報告されています。また、ビタミンB6も神経伝達物質の合成酵素を補助する重要なビタミンです。

うつ病:セロトニンと腸内環境のカギ

うつ病では気分の落ち込み、無気力、不眠、自己否定感などが典型的な症状です。その中心には、セロトニンやドーパミンの不足、またはストレスによる神経の炎症があると考えられています。

栄養的には、トリプトファン(セロトニンの材料となるアミノ酸)やビタミンB群(特にB6、B12、葉酸がセロトニン合成とホモシステイン代謝に関与)などが重要ですが、腸内環境や不安定な血糖値も症状に大きく関係します。

認知症:酸化ストレスと炎症がポイント

認知症、特にアルツハイマー型認知症は、脳内の炎症や酸化ストレス、アミロイドβの蓄積などによって神経細胞が障害される疾患です。

抗酸化栄養素(ビタミンE、C、グルタチオンなど):脳の酸化ストレスを軽減し、オメガ3脂肪酸(EPA・DHA):抗炎症作用と神経保護を行います。

血液検査で言えば、**ホモシステイン代謝のサポートも重要です。**ビタミンB群不足によりホモシステイン値が上昇すると、認知機能が低下しやすいからです。

精神疾患は「脳の病気」だけではなく、「体全体の栄養状態と代謝の結果」として現れる側面があります。

検査で見えてくること

精神疾患の症状の表面だけでなく、根本にある栄養の偏りや代謝異常を可視化することで、より的確なアプローチが可能になります。

血液検査から分かること:

  • 鉄関連(フェリチン、血清鉄、TIBC):鉄欠乏性うつやADHDに関係。
  • 亜鉛、銅:神経伝達物質や免疫機能に関与。銅亜鉛比も重要な指標。
  • ビタミンB群(特にB12、葉酸):ホモシステイン代謝や神経機能の指標。
  • ホモシステイン:高値は認知機能の低下と関連。ビタミンB群の欠乏を示唆。
  • 血糖・インスリン・HbA1c:血糖値の変動が精神状態に影響。
  • 炎症マーカー(CRPなど):慢性炎症が精神症状を悪化させる可能性。

有機酸検査

より詳細に代謝の状態を知るために、尿中の有機酸検査やアミノ酸分析を行うこともあります。これにより、ミトコンドリアの機能低下、腸内環境の悪化、ビタミン不足の兆候などを把握できます。

腸内フローラ検査

腸内環境は精神状態と深く結びついています。腸内細菌のバランスは、セロトニンの合成、免疫反応、炎症状態などに影響を与えるため、腸内フローラの乱れは不安やうつ症状の悪化要因となり得ます。

食事とサプリによるサポート

検査によって栄養の偏りや代謝の乱れが見えてきたら、次はその改善に向けた実践的なアプローチが必要です。

食事で整える神経伝達物質

脳の神経伝達物質は、日々の食事で摂取する栄養素から作られています。したがって、精神の安定にはまず「基本の食事」を整えることが不可欠です。

食事のポイント:

  • タンパク質をしっかり摂る:アミノ酸(トリプトファン、チロシンなど)の材料となる。肉・魚・卵・豆製品などを毎食に。
  • 低GIの炭水化物を選ぶ:血糖値の乱高下を防ぎ、情緒の安定につながる。玄米、雑穀、さつまいもなどが理想。
  • 良質な脂質を摂取:オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)は神経細胞の膜を構成し、抗炎症作用も。青魚やえごま油、亜麻仁油などがおすすめ。
  • 緑黄色野菜や発酵食品を取り入れる:ビタミン・ミネラル補給と腸内環境の改善に有効。

よく使われる栄養素:

  • ビタミンB群:特にB6、B12、葉酸は神経伝達物質とホモシステイン代謝に関与。
  • :フェリチン(貯蔵鉄)が低い場合に。ビタミンCと併用で吸収率アップ。
  • 亜鉛:不足しやすく、精神症状の改善に効果が期待される。
  • マグネシウム:神経の興奮を抑え、睡眠やリラックスに関与。
  • オメガ3脂肪酸:DHAは認知機能、EPAは気分安定に関与。

これ以外に、血糖値の不安定さや腸内環境改善の個別治療が必要です。

おわりに

当院では、精神の不調に悩む方々に対して、分子栄養学に基づいた丁寧なカウンセリングと検査を行い、一人ひとりに合った食事・栄養指導を行っています。

「薬だけではなかなか良くならない」 「本当の原因を知って根本から改善したい」 そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。

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