遺伝子検査
副腎疲労や腸内環境などは環境や食べ物の影響が多いのですが、それと比べて、神経伝達物質のバランスや解毒力などは遺伝的な影響が比較的大きいです。これらの背景には、生まれ持った遺伝子の個人差が関わっている可能性があります。当院では、遺伝子検査を用いて、メチレーション(神経伝達物質のバランス)と解毒能力に関する遺伝子を詳細に調べ、個々の体質に合わせた精密な栄養療法を提供しています。
遺伝子検査とは?
当院で採用しているメチレーション遺伝子検査は、メチレーション経路に関わる重要な遺伝子を包括的に調べる検査です。メチレーションは体内で最も頻繁に行われる生化学反応の一つで、遺伝子制御、毒素の無害化・排泄、神経伝達物質の生成、ホルモン代謝、免疫細胞の成熟など、生命活動のあらゆる側面に深く関わっています。
検査項目の詳細
MTHFR遺伝子(C677T、A1298C): 葉酸をメチル葉酸(活性型葉酸)に変換する最も重要な酵素の遺伝子です。C677T変異は心血管疾患やホモシステイン高値と関連し、A1298C変異は精神疾患や慢性疲労症候群との関連が指摘されています。
COMT遺伝子(V158M): ドーパミン、セロトニン、エストロゲンの分解に関わる酵素の遺伝子です。変異があるとこれらの分解が遅くなり、体内で濃度が高くなります。
MTR/MTRR遺伝子: ビタミンB12を活性化し、メチレーション回路を回すために重要な酵素の遺伝子です。変異があるとビタミンB12の利用効率が低下します。
CBS遺伝子: ホモシステインの代謝に関わる酵素の遺伝子で、活性が上昇するとメチル基の消費が増加し、グルタチオンの生成にも影響します。
AHCY遺伝子: メチレーション回路の調節に重要な役割を果たす酵素の遺伝子です。
VDR遺伝子(Bsm、Fok、Taq): ビタミンD受容体の遺伝子で、ビタミンDの効果や必要量に影響します。
その他の重要な遺伝子: SHMT(セリン代謝)、DHFR(葉酸代謝)など、メチレーション経路の様々な段階に関わる遺伝子も含まれます。
遺伝子検査で分かる症状・体調不良
メチレーション異常による症状
低メチレーション型: MTHFR変異などによりメチル基の生成が不足すると、ヒスタミンの代謝が滞り、花粉症やアレルギー症状が強く現れます。また、ドーパミンやセロトニンの合成が低下し、抑うつ状態、依存傾向、完璧主義、競争心の強さなどの特徴が見られます。SSRIなどの抗うつ薬が効果的なタイプです。
高メチレーション型: COMT変異などによりドーパミンやセロトニンの分解が遅くなると、これらの濃度が過剰になり、強い不安感、パニック、化学物質過敏症などが現れます。芸術的才能や活発な性格を持つ人が多い傾向にあります。
ビタミンB12利用障害: MTR/MTRR変異がある場合、ビタミンB12の活性化がうまくいかず、大球性貧血、神経症状、記憶力低下などが現れることがあります。
ホモシステイン代謝異常: CBS変異がある場合、ホモシステインの代謝が異常になり、心血管疾患のリスクが高まったり、メチル基の過剰消費による症状が現れたりします。
解毒能力の低下による症状
重金属蓄積による症状: メチレーション異常により解毒能力が低下すると、慢性疲労、頭痛、集中力・記憶力の低下、人格の変化、イライラ、夜間頻尿などが現れます。同じ環境にいても、遺伝的にメチレーション能力が低い人ほど重金属が蓄積しやすく、これらの症状が強く出る傾向があります。
化学物質過敏症: グルタチオン合成の低下により、農薬、添加物、化粧品などの化学物質に対して過敏に反応し、頭痛、めまい、呼吸困難、皮膚症状などが現れます。
遺伝子検査が有用な理由
現代社会におけるメチレーション不全の蔓延
近年、メチレーション不全が蔓延している背景には、工業型農業による栄養不足の食品、慢性的なストレス、化学物質への暴露、標準化された対症療法的な医療などがあります。これらの要因はすべてメチル基の消費を増加させ、結果的にメチレーションの低下を招いています。
かつてはメチレーションのバランスが保たれていたため、特定の遺伝子変異を考慮する必要はありませんでした。しかし、現在ではメチレーションのバランスが大きく崩れているため、遺伝子変異の特定が不可欠になってきています。
難治性症状への対応
包括的な生活習慣の改善や栄養補充だけでは回復が見込めない難治性の患者さんが増加しており、その大きな要因として遺伝子変異が挙げられます。メチレーション遺伝子検査により根本的な体質を把握することで、これまで改善が困難だった症状に対しても効果的なアプローチが可能になります。
当院のアプローチ
包括的な遺伝子解析
メチレーション遺伝子検査では、メチレーション経路に関わる主要な遺伝子を一度に調べることができます。個別の遺伝子を単独で評価するのではなく、遺伝子間の相互作用も考慮した包括的な解析を行います。
遺伝子結果に基づく個別化治療
MTHFR変異への対応: C677T変異では心血管疾患やホモシステイン高値のリスクがあるため、活性型葉酸とメチルコバラミンの補充を行います。A1298C変異では精神疾患や慢性疲労との関連があるため、BH4(テトラヒドロビオプテリン)やドーパミン・セロトニンサポートに重点を置きます。
COMT変異への対応: ドーパミンやセロトニンの分解が遅い場合は、これらの前駆体の摂取を慎重に行い、必要に応じてナイアシンで過剰なメチル化を抑制します。
MTR/MTRR変異への対応: ビタミンB12の活性化が困難な場合は、より高用量のメチルコバラミンやアデノシルコバラミンを使用し、葉酸との適切なバランスを保ちます。
CBS変異への対応: ホモシステイン代謝が過剰な場合は、硫黄を含むアミノ酸の摂取を制限し、グルタチオン合成をサポートします。
まとめ
当院では、20年以上の栄養療法の経験を基に、メチレーション遺伝子検査の結果を正確に解釈し、他の検査結果と統合して包括的な治療計画を立案しています。遺伝子変異があるからといって諦める必要はありません。適切な知識と経験に基づいたアプローチにより、遺伝的な弱点を補い、症状の改善を図ることができます。
原因不明の慢性症状でお悩みの方、従来の治療で十分な効果が得られなかった方は、ぜひ一度メチレーション遺伝子検査をご検討ください。あなたの体質に合わせた最適な治療法を見つけるお手伝いをいたします。
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