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コラム

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副腎疲労のサプリの分類と正しい順番

患者:「先生、副腎疲労だと思ってサプリを始めたんですけど……楽にはなるんです。

でも減らすと、また辛くなって。今は10種類以上になっちゃって、正直しんどくて」

宮澤:「よく頑張ってここまで調べてきましたね。」

患者:「でも、サプリに依存してるみたいで……」

宮澤:「今のサプリ、それぞれ何のために飲んでいるか言葉にできますか?」

患者:「……副腎疲労に効くと書いてあったから、としか」

宮澤:「それで十分です。多くの方が同じ状態で来られます。

実は、副腎疲労に使うサプリには、目的が全然違う3種類があるんです。

ここを整理するだけで、かなりスッキリしますよ。」

📦 まず分類しよう——あなたのサプリは「何のため」か

副腎疲労に使うサプリには、大きく3種類ある。

① 消耗補充系 副腎疲労によって根こそぎ消耗した栄養素を補充する。

② HPA軸調整系 副腎疲労の「本体」—視床下部・下垂体・副腎の調整システムを正常化する。

③ 根本原因系 副腎疲労を引き起こし続けている「火元」を消す。

この3つを混ぜたまま「副腎疲労サプリ」としてまとめて飲んでいると、何が効いて何が効いていないかが永遠にわからない。


患者:「3種類……。私が飲んでるのは、どれになるんですか?」

宮澤:「今飲んでいるものを聞かせてもらえますか。

マグネシウムとビタミンCと副腎エキスが入っていますか?」

患者:「そうです。あと、アシュワガンダとチロシンも追加しました」

宮澤:「ありがとうございます。整理しますね。

マグネシウム・ビタミンC・チロシンは①の消耗補充系です。

副腎エキスとアシュワガンダは②のHPA調整系に近い。

①と②が混在しています。

そして③の根本原因系が、今は入っていない状態です。」

患者:「根本原因……というのは?」

🧪 消耗補充系サプリ——副腎疲労で根こそぎ消える栄養素たち


まず①から説明する。

副腎疲労ではアドレナリンとコルチゾールが慢性的に出続ける。

その過程で、特定の栄養素が大量に消耗する。

マグネシウムは最も枯渇しやすい。

アドレナリンが出ると細胞内にカルシウムが流入し、マグネシウムはそれを押し返そうとする。

この拮抗が慢性的に続くと、マグネシウムは尿中にどんどん排泄される。

ビタミンCは副腎が体内で最も高濃度に保持する栄養素だ。

コルチゾールやアドレナリンの合成、そして合成後に発生する酸化ストレスの処理、両方でビタミンCを大量に消費する。

チロシンはアドレナリン合成の直接原料だ。

「チロシン→ドーパ→ドーパミン→ノルアドレナリン→アドレナリン」という経路を、ストレス下では延々と回し続ける。

当然、枯渇する。

メチル系(メチルB12・メチル葉酸・SAM-e)は、アドレナリンを分解するCOMT経路で消耗する。

COMT遺伝子の多型(Val158Met)がある人は、ここで詰まりやすく、消耗も激しくなる。

栄養素消耗する理由
マグネシウムCa拮抗の慢性消耗+尿中排泄増加
ビタミンC副腎での合成+酸化ストレス処理
チロシンアドレナリン合成の直接原料
メチル系COMT経路での分解に必要
B6アミノ酸→神経伝達物質変換の補酵素

患者:「じゃあ、これを補充してれば治るんじゃないんですか?」

宮澤:「いい質問です。補充して楽になるのは本当のことです。

ただ、減らすとまた戻る——これはなぜだと思いますか?」

患者:「……火が消えてないから?」

宮澤:「まさにそうです。消耗する原因が残っているかぎり、補充した先から消えていくんです。

だからサプリが増え続けてしまう。

その『消耗の原因』を止めるために必要なのが、②と③なんですよ。」

🧠 副腎疲労の本当の舞台——HPAフィードバック障害という概念

副腎疲労を「副腎が疲れた状態」だと思っている人が多い。 でも、副腎はただ命令通りに動いているだけだ。

本当の問題は、命令を出している側——HPA軸(視床下部—下垂体—副腎系)のフィードバック障害にある。

慢性ストレスが続くと、まずコルチゾールが長期間出続ける。

体はそれに対抗するために、視床下部・下垂体のコルチゾール受容体を減らす。 受容体が減ると、フィードバックが鈍くなる。

結果として、コルチゾール全体の量が下がる。

そしてもう一つの厄介な変化がある。

コルチゾールがわずかに上がっただけで、今度は過剰に抑制がかかり、またすぐ下がる。

この動態は、PTSD患者のコルチゾールパターンと同じだ。

過去に高すぎた反動で、少しの変動にも過剰反応するようになっている。(症状としてはちょっとしたストレスですごく落ちます。)

副腎疲労の本質は「副腎の問題」ではなく、脳のコントロールシステムが狂っている状態だ。


患者:「じゃあ、副腎をサポートするサプリをいくら飲んでも……」

宮澤:「フィードバックの回路が乱れたままでは、どんなに良いサプリでも一時的な効果にとどまってしまいます。コントロール室が正常に動いていないと、末端を整えても根本は変わらないんです。」

患者:「どうすれば回路が戻るんですか?」

宮澤:「それが②と③の話です。ここからが本当に大事なところなので、もう少し聞いていてください。」

🔧 「本体を治す」サプリは2種類ある

② HPA軸調整系サプリは、視床下部・下垂体・副腎のフィードバック回路そのものに働きかける。

ホスファチジルセリンはHPA軸の過活動を抑える。

コルチゾールが「上がりすぎ」のタイミングに使う。

アシュワガンダは夜間の高コルチゾール型に向く。 パターンを見ずに「とりあえず副腎サプリ」として使うと逆効果になることがある。

リコリス根は、コルチゾールの不活化を遅らせることで低コルチゾール型に使う。

高血圧の人には使いにくいという制約がある。

どのパターンか——コルチゾールのリズムが崩れているのか、全体が低いのか、朝だけ出ないのか、夜が下がらないのか——を測定せずに使うのは、地図なしに運転するようなものだ。


患者:「③の根本原因系というのは?」

宮澤:「多くの方が気づいていない部分なんですが、精神的なストレス以外にも、体の中に慢性的な炎症源が潜んでいることがあります。これが副腎疲労を維持し続けているケースが、実はとても多いんです。」


③ 根本原因系とは、副腎疲労を維持し続けている「火元」を消すアプローチだ。

代表的な火元は3つある。

隠れた感染——カンジダ過増殖、寄生虫、SIBO(小腸内細菌増殖症)、慢性ウイルス感染。

通常の血液検査では出てこない。

有機酸検査(OAT)やGI-MAP(便中DNA検査)で特定する。

重金属——水銀・鉛・カドミウムなどは副腎や甲状腺の酵素機能を直接阻害し、HPA軸の調整そのものを乱す。

毛髪重金属検査や尿中重金属検査を使う。

カビ毒素(マイコトキシン)——カビが生えやすい環境に長期間いた人に多い。

標準検査では全くわからない。

GPLのマイコトキシン尿検査を使う。


患者:「これ、全部やらないといけないんですか?」

宮澤:「全部やる必要はないですよ。

あなたの病歴と生活歴を聞いて、可能性が高いものから絞っていきます。

感覚で選ぶのではなく、まず測定して、それから決める。

その順番を守るだけで、以前は効かなかったものが効くようになることが多いんです。」

患者:「じゃあ、今のサプリは……」

宮澤:「こう整理できます。」


① 消耗補充系(Mg、C、チロシン、メチル系)
→ 補充は正しい。でも根本が治るまで減らせない

② HPA軸調整系(ホスファチジルセリン、アシュワガンダなど)
→ コルチゾールのパターンを測って使う。パターン次第で逆効果になる

③ 根本原因系(感染・重金属・カビ毒素対応)
→ ここを消さないかぎり①も②も一時的

患者:「つまり、今は③がゼロだから、①をやめられないんですね……」

宮澤:「そうです。

③が片付いて、②でHPAが安定してきたら、①は自然に量を落とせるようになります。

ゴールは『補充なしで安定できる体』ですから。

一緒に、そこを目指しましょう。」


「サプリが増え続ける患者」が生まれる構造

少し整理させてください。

「副腎疲労サプリ」というカテゴリが、一種のブラックボックスになっています。

副腎エキスも、アシュワガンダも、ビタミンCも、全部「副腎疲労に効く」と並んで売られている。

でも、それぞれが狙っている場所は全く別です。

消耗補充系は、使い続ければ楽になる。

だから継続率が高い。

HPA調整系は、パターンを測らずに使うと逆効果になることがある。

でも「なんとなく合ってる気がする」で続けることができる。

根本原因系は、特定のための検査が必要で、自己判断では選べない。

この3つが混在して「副腎疲労サプリセット」になると、何が効いていて何が効いていないか、永遠に分からないまま飲み続けることになります。

私がクリニックで最初にやることは、サプリの棚卸しです。

「これは消耗補充か、HPA調整か、根本原因か」を分類する。

それだけで、半分以下に整理できることがよくあります。

「良さそうなものを積み上げる」ではなく、「自分の現在位置を測って、必要なものを選ぶ」

——この順番の違いが、やめられない状態から抜け出せるかどうかの分岐点です。

🔬 唾液コルチゾール4回測定——リズムの読み方

コルチゾールのパターンを知るには、唾液コルチゾール検査が有効だ。

血液検査が「点」の情報しか取れないのに対して、唾液4回測定は「1日のリズム全体」を見られる。

採取タイミングは4点だ。

  • 起床直後(30分以内)
  • 昼12時前後
  • 夕方17〜18時
  • 就寝前(22時前後)

正常なリズムは朝が最も高く、夜に向けて緩やかに下がる曲線だ。

副腎疲労ではこのパターンが崩れている。

よくある4つの異常パターン:

① 朝が上がらない 起床時のコルチゾール覚醒反応(CAR)が弱い。

朝から体が動かない、頭が回らない原因になる。

このパターンにリコリス根や朝のビタミンCが入る。

② 夜が下がらない 夜も高止まりしている。

眠れない、眠りが浅い原因だ。

このパターンにホスファチジルセリンや夜のアシュワガンダが入る。

③ 全体的に低いフラット 1日通じて低い値が続く。

重症パターンで、慢性疲労と誤解されやすい。

④ 乱高下型 上がったと思ったらすぐ落ちる。

HPA軸が過剰反応している状態で、PTSDのコルチゾール動態に近い。

このパターンを特定せずにHPA調整系サプリを使うと、症状が悪化することがある。

「アシュワガンダを飲んだら余計に疲れた」という経験がある人は、タイミングとパターンのミスマッチが多い。

🎯 根本原因を特定する3種類の検査

精神的ストレス以外の炎症源を探す検査の選び方を整理する。

隠れた感染を調べる場合:

  • 有機酸検査(OAT):カンジダや腸内細菌の代謝産物を尿中で確認する
  • GI-MAP(便中DNA検査):カンジダ、寄生虫、SIBOに関連する菌叢をDNAで特定する

重金属を調べる場合:

  • 毛髪重金属検査(HTMA/ドクターズデータ):蓄積型の重金属(鉛・カドミウム・ヒ素など)に向く
  • 尿中重金属検査:急性・亜急性の排泄型の評価に向く。キレーション前後の比較にも使う

カビ毒素を調べる場合:

  • Great Plains Laboratory(GPLスポット):マイコトキシン(オクラトキシン、アフラトキシンなど)を尿中で確認する

この3つのうち、どれを選ぶかは病歴と生活歴で絞る。

カビが多い建物に住んでいた時期があるかどうか、歯科治療で水銀アマルガムを使っていたかどうか、腸の不調の経緯がどうか

——こうした情報から優先順位をつける。

全部やる必要はない。

絞って選ぶことが精度を上げる。

🛠️ HPA調整サプリと根本原因サプリ——選択と用量の実際

唾液コルチゾールのパターンが分かったら、HPA調整系サプリを選ぶ。

低コルチゾール型(全体的に低い・朝が出ない)に使うもの:

介入タイミング・用量
リコリス根(甘草)朝。コルチゾール不活化を遅らせる。高血圧には使わない
ビタミンC副腎の合成を支援
パントテン酸(B5)コルチゾール合成の律速因子
朝の日光浴CARを引き上げる非サプリ介入

高コルチゾール型・乱高下型(夜が下がらない・PTSD様パターン)に使うもの:

介入タイミング・用量
ホスファチジルセリン夕食後。HPA軸の過活動を抑える
アシュワガンダ就寝前。夜間の高コルチゾール型に向く
マグネシウム就寝前。夜間の神経興奮を落ち着かせる
4-7-8呼吸・迷走神経刺激就寝前15分。非サプリ介入として効果が高い

根本原因系の介入は、検査で特定したものに対して行う。

カンジダ過増殖があればアンチカンジダプロトコル(カプリリン酸・オレガノオイル・グレープフルーツ種子抽出物など)を組む。

重金属であればキレーション(クロレラなど)を使う。

カビ毒素であれば居住環境の確認と毒素排泄を同時に進める必要がある。

これらの介入が進み、HPA軸が安定し始めると、消耗補充系サプリは自然に量を落とせるようになる。

「補食なしでも安定できる日が増えてきた」という変化が、回復の現実的なサインだ。


「順番を守ると、以前効かなかったものが効く」

少し整理させてください。

副腎疲労の患者さんの唾液コルチゾールが返ってきたとき、毎回思うことがあります。

「これで日常生活を送れているのか」という低さの方が、一定数います。

でも本人は「疲れやすい」という自覚はあっても、数値として確認されるまで、自分がどのくらい消耗しているかを実感できない。

体は驚くほど適応します。

だから消耗したまま何年も過ごせてしまう。

そして「色々試したけど治らなかった」という結論になる。

私が20年以上の臨床で確信していることは、順番の問題がほとんどだということです。

環境因子(感染・毒素・血糖の乱れ・精神的ストレス)を先に取り除かないと、補充は持続しない。

アドレナリンとコルチゾールが暴走し続けている状態で栄養素を入れても、補充した先から消えていきます。

HPA軸が整っていない状態でHPA調整系サプリを使っても、パターンが合っていなければ逆効果になる。

まず消耗の原因を止める。次にHPAを調整する。その上で補充する。

この順番を守ると、以前は全く効かなかったアプローチが効き始めることが、臨床で本当によくあります。

「副腎疲労は治らない」と言われてきた方ほど、実は順番の問題であることが多いです。

自分の現在位置を測ること——それが全ての出発点です。


p.s. 唾液コルチゾールの基準値は検査機関によって異なります。サプリの用量・期間は個人の状態によって変わります。リコリス根は高血圧の方には使いにくく、チロシンは甲状腺疾患・MAO阻害薬との相互作用があります。実際の使用は主治医との確認の上で行ってください。

p.p.s. COMTの多型(Val158Met)がある方は、メチル系補充で一時的に症状が悪化することがあります。「メチルB12でイライラが増した」という経験がある方は、ここが原因のことがほとんどです。遺伝子検査と組み合わせると精度が上がります。

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