セロトニン不足のうつ病は38%に過ぎない
症状が「うつ」なだけで、原因が全く異なる疾患を一括りにしているのがそもそもの間違いだ。
ウィリアム・ウォルシュ博士によれば、セロトニン不足のうつ病は全体の38%しかいない。
刑務所から始まった、世界最大規模の研究
1970年代、アルゴンヌ国立研究所の化学エンジニアだった彼は、刑務所でボランティアとして働くうちに、一旦出所しても再犯を繰り返して戻ってくる囚人が多いことに気づいた。
そんな彼らの毛髪分析を行った結果、暴力的な囚人の毛髪に明らかな特徴を発見した。 例えば、キレやすい、学習障害がある、衝動的という特徴を持つものは、鉛やカドミウムが高かった。 また、普段は温厚だが、ストレスがかかると爆発的に暴れる(DVなど)場合、銅が異常に高く、亜鉛が低いことが多かった。
そこから始まった研究が、うつ病3,200件・ADHD5,600件・統合失調症3,500件という途方もないデータになった。
現在、彼は精神疾患の栄養療法症例を世界一持っている臨床家であり、彼の主催する「Mastering Brain Chemistry」講座は、世界80カ国以上、約1,200名以上の精神科医をメインとした医師・医療従事者が受講している。

その講座の核心が、脳の生化学タイプだ。
うつ病患者3,200人を分析してわかったこと
ウォルシュ博士の分析結果。
・低メチレーション(セロトニンが低すぎ):38% ・高メチレーション(セロトニンが高すぎ):20%
・銅過剰(亜鉛は少なくなる):17% ・ピロール障害(生まれつきのB6亜鉛不足):15% ・重金属蓄積:5%
・その他:5%
つまり、うつ病患者の2割はセロトニンが多すぎてうつになっている。
SSRIでセロトニンをさらに増やしたら、どうなるか。
悪化する。
ちなみに一般的な精神科では、脳のセロトニンを測ることなく、セロトニンを増やす薬が普通に使われている。SSRIを使って副作用が出てしまう人はこのことを考えてみてほしい。
この副作用はセロトニン症候群(=セロトニン過剰症)と呼ばれる。
メチレーションとは何か
「メチレーション」という言葉、初めて聞く方も多いと思う。
シンプルに言うと、こうだ。 メチル基(CH₃)が体の中のいろんな物質にくっつくこと。
これがうまく回っているかどうかで、脳内の神経伝達物質の量がほぼ決まる。
メチルをいっぱい体に届けてくれる代表格はSAMe(サムイー)。 反対にメチルを奪う有名な物質がナイアシン(ビタミンB3)。
SAMeが体で豊富ならメチレーションが進む→セロトニンが増える。 SAMeが少なければメチレーションが滞る→セロトニンが減る。
ここがポイント。
メカニズムは複雑なので省くが、
高メチレーション=高セロトニン・高ドーパミン
低メチレーション=低セロトニン・低ドーパミン
これだけ覚えておけばいい。
ちなみに、うつ病でなくとも低メチレーションの人は結構いて、脳の働きやアレルギーなどに影響を与えている。
あなたはどのバイオタイプ?
僕はうつ病でないけど低メチレーションだ。 低メチレーションの人の特徴にほぼ当てはまる。
・完璧主義。成績は良い方。
・毎日同じルーティン(同じごはん、同じ道を通って会社に行く)
・花粉症。
・買い物・ギャンブル依存。
・表向きは落ち着いているが、内心は神経質
特に完璧主義、花粉症、同じルーティンがあれば可能性は高い。
一般人の20%、うつ病患者の38%、自閉症児の98%がこのタイプ。
ちなみに高メチレーションタイプの人の特徴は、
・不安感
・パニックが強い
・気立てが良く、芸術的才能がある
・化学物質過敏症がある
いわゆるいい人タイプ。
パニック障害の3分の2がこのタイプだ。
普通の人には高メチレーションタイプは8%しかいない。
他に、ピロール障害タイプは、子供の頃からの極端な感情の起伏、本が読めない、夢を思い出せない。 ⇨ ビタミンB6と亜鉛補給が基本
銅過剰タイプは強い不安感とパニックで、産後や更年期の女性に見られる。 ⇨ 亜鉛を補給。銅サプリは減らす。
重金属蓄積タイプはイライラが強い。デトックスの話を覚えている方はピンと来るはず。⇨ デトックス。
血液検査で今すぐ自分のタイプを確認する方法
自分の血液検査がある人は、今すぐ確認してほしい。 好塩基球数を計算するだけで、メチレーションの状態の目安がわかる。 計算式はシンプルだ。
好塩基球数 = 白血球数(/μL)× 好塩基球(%)÷ 100
30以下 → 高メチレーション 30〜70 → ノーマル 70以上 → 低メチレーション
(注:必ずしも全員に当てはまるとは限りません。あくまでもこれは目安であり、精神疾患の治療にはもっと高精度な検査を行う必要があります。)
これは患者さんだけの話じゃない
自分のバイオタイプを知ることは、誰にでも役に立つ。
イライラしやすい、気分が落ち込みやすい、不安感が抜けない。 そういったなんとなくの不調も、実は脳の生化学的なアンバランスが原因のことが多い。
自分がどのタイプかを把握して、それに合ったサプリメントを使えば、気分の波は確実に小さくなっていく。
血液データを持っている方は、ぜひ今日紹介した好塩基球数から始めてみてほしい。
自分の脳のタイプがわかるだけで、日々の選択が変わる。