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コラム

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15歳男性|起立性調節障害の根本原因は「腸内環境の異常」だった

起立性調節障害とは?

起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation:OD)は、自律神経のバランスが崩れて、立ち上がったときに血圧や脈拍がうまく調整できない状態を指します。
小学校高学年から高校生の思春期に多く、特に女子に多いのが特徴です。

主な症状

  • 朝なかなか起きられない
  • 立ちくらみ、めまい、頭痛
  • 動悸、倦怠感、息切れ
  • 集中力の低下、眠気、睡眠リズムの乱れ

これらの症状により、学校に通えなくなるケースも少なくなく、不登校の原因のひとつとされています。

従来の治療の限界

一般的な治療は、昇圧薬などの薬物療法や、生活習慣の工夫(朝の塩分摂取、規則正しい生活リズムなど)が中心です。
しかしこれらは多くの場合、「症状を一時的に和らげる」対症療法にとどまるため、根本的な改善につながらないケースも少なくありません。


今回の症例:15歳男性のケース

患者さんは15歳の男子中学生。運動が得意でリレーの選手や少年野球に取り組んでいました。
しかし中学入学後、勉強と部活動の両立で疲れが溜まり、1年の夏に風邪をきっかけに体調を崩しました。

その後、下痢・頭痛・めまい・強い疲労・不眠や過眠などが続き、脳神経外科・頭痛外来・神経内科・心療内科・鍼灸など多くの医療機関を受診。最終的に小児科で「起立性調節障害」と診断されました。

中学にはほとんど通えず、通信制高校に進学しましたが、運動後に強い疲労で寝込むなど、週3日の登校も難しい状況でした。

「これが最後の治療になれば」
保護者の切実な願いを受け、当院での根本治療が始まりました。

診察所見

  • 慢性的な疲労と生活の質の著しい低下
  • 肩こり、口呼吸、歯並びの不良 → 上咽頭炎や鼻呼吸障害が疑われました

脳機能検査では大きな異常はなく、器質的ではなく機能的な問題と判断されました

検査結果と分子栄養学的解釈

便検査

  • 善玉菌(乳酸菌・クロストリジウム)の著明な減少
  • 腸内炎症が進行し、腸管バリア機能の破綻が疑われました

→ 善玉菌不足は短鎖脂肪酸の低下につながり、腸の粘膜修復や免疫機能が働きにくくなります。その結果、炎症が全身に広がり、自律神経や副腎機能へ悪影響を及ぼします。

毛髪ミネラル検査

  • 水銀・ヒ素の軽度上昇 → 体内に重金属が蓄積
  • 亜鉛・マグネシウム・鉄の低下 → 吸収障害や炎症による消耗

特にマグネシウム不足は副腎やミトコンドリア機能に直結し、起立時の血圧調整不良や慢性疲労を引き起こします。


当院での治療アプローチ

当院では「症状を抑える」だけでなく、根本原因にアプローチすることを大切にしています。今回も腸内環境を中心に、段階的な治療を行いました。

  1. 腸内環境の改善
    • 抗炎症食品・食物繊維を意識した食事指導
    • プロバイオティクスで腸内フローラを再構築
  2. ミネラル補充
    • 亜鉛・マグネシウム・鉄を吸収率の高い形で投与
    • 成長期の栄養需要にあわせて調整
  3. 悪性細菌の除菌
    • 天然の抗菌物質を使い、腸内の悪性菌を減少
    • バリア機能修復を並行し、再発を予防
  4. デトックス治療
    • 重金属排出と肝臓の解毒サポート

栄養補充と並行して副作用を抑制


治療で起こりうる副作用

腸内環境を整える過程では、一時的な副作用が出ることがあります。

  • 改善初期:ガスや膨満感、便通の変化
  • 除菌治療中:細菌が死滅する際に出る毒素で倦怠感や頭痛(ダイオフ症状)
  • デトックス治療中:重金属排出に伴い、疲労感や集中力低下

思春期は栄養需要が高いため、サプリメントは少量から段階的に増やすことが重要です。
当院では保護者と連携し、十分な水分補給・排便管理・解毒サポートを行いながら安全に治療を進めています。

症状の経過

治療1ヶ月目 食事指導、乳酸菌補充、腸内炎症抑制治療、ミネラルバランスの改善を開始。腸内環境改善への反応が良好で、便通が改善し、腹部膨満感が軽減されました。

治療2ヶ月目 悪性細菌除菌治療を実施。一時的なダイオフ症状は見られましたが、適切な管理により軽度にとどまりました。

治療3ヶ月目 上咽頭炎のケアを開始。疲労感の著明な軽減が見られ、起立時のめまいや動悸も改善傾向を示しました。

治療4ヶ月目 デトックス治療を開始。重金属の排出とともに、ミネラルの再補充を行いました。

治療6ヶ月後 通常通り起きられるようになり、週3回の登校も安定して継続できるようになりました。運動後の極度の疲労も大幅に改善し、好きなスポーツを再開できるレベルまで回復しました。

症状 初日 1ヶ月後 3ヶ月後 6ヶ月後
疲れている 8 3 2 0
気分の落ち込み 1 0 0 0
眠れない 9 5 3 0
朝、起きられない 8 5 3 2
筋肉痛、肩こり 5 5 3 0
立ちくらみ 2 0 2 0
低血圧である 5 0 0 0
怒りっぽくなる 2 2 0 0
耳鳴りがする 2 5 0 0
息切れ 7 3 0 0
集中力がない 8 6 3 1
神経過敏 5 5 0 0
甘いものをが欲しい 4 4 3 2
食欲不振 6 5 0 0
腹部の膨満感 1 0 0 0
便の形が不安定 7 7 3 0
下痢気味 6 6 3 0
便のにおいが強い 3 3 2 0
合計 84 60 29 5

症状スコアの変化

初診時は 84点 と重度でしたが、6ヶ月後には 5点まで改善
「眠れない(9→0)」「疲れている(8→0)」「朝起きられない(8→2)」と大幅に改善しました。


治療費用(6ヶ月間の概算)

検査費用

  • 初診料:11,000円
  • 血液検査(M-1):17,000円
  • 総合便検査:71,000円
  • 毛髪ミネラル検査:27,500円
  • 再診料(6回程度):66,000円

治療費用

  • 超炎症修復サプリセット(3ヶ月):27,960円
  • デトックスサプリ(2ヶ月):約27,000円
  • ミネラルサプリメント(6ヶ月):約30,000円

総治療費:およそ28万円(6ヶ月間)

※上記費用は保険適用外の自由診療となります。 ※個人の症状や治療経過により、必要な検査・治療内容は異なります。


まとめ

起立性調節障害は「自律神経の不調」と片付けられがちですが、実際には腸内環境の悪化・栄養不足・重金属蓄積・副腎疲労などが複雑に関与する全身性の病気です。

従来の薬物や生活指導だけでは限界があり、今回の症例のように根本原因へアプローチする治療によってはじめて大きな改善が得られるケースもあります。

若い世代ほど改善スピードは早く、今回も6ヶ月という短期間で生活の質が大きく向上しました。
起立性調節障害で悩む患者さん・ご家族にとって、腸内環境を整える治療が希望につながると私たちは考えています。

起立性調節障害は、自己判断では原因を特定しにくい病気です。

「もしかしてうちの子も…」と思われたら、まずはお気軽にご相談ください。

当院では無料カウンセリングをご用意しています。

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