ウィリアム・ウォルシュ博士
ウォルシュ・リサーチ・インスティテュート所長
全米並びにオーストラリア、ノルウェイ、イギリスなど、世界各国にて数百名規模の臨床医に対するエピジェネティクスの研修・教育プログラムを指揮している。
1970年代には、イリノイ州 アルゴンヌ国立研究所に
勤務する傍ら刑務所に収監されている人々を対象とした
ボランティアプログラムを発足させ、囚人や前科者に
頻繁に観察される攻撃的行動に関する調査、研究を実施。
長年共同研究を重ね、個人に応じた適切量の栄養素を治療に導入することで、生化学的メカニズムと脳の化学物質の機能に重点を置いた治療法を確立した。
以後、30年にわたり、科学的根拠に基づいた生化学的治療法によって行動障害やADHD、
自閉症、うつ、不安症、統合失調症、アルツハイマー病の患者に対する治療に取り組み続け、
今では世界中の臨床医がこのプロトコルを実践している。
実験研究の詳細に関してはアメリカ精神医学会、米国上院議会、全米精神衛生学会にて公表、
世界30ヵ国の国際会議やセミナーにおいても、広くその考えが知れ渡るようになった。
数多くの精神疾患患者の治療に関わり、圧倒的な臨床経験を持っている。(行動障害 10,000件、ADHD 5,600件、統合失調症 3,500件、うつ 3,200件、自閉症 6,500件)
また、精神疾患患者に対して行ったバイオロジカル検査数は300万件以上。
セミナーやトレーニングプログラムを通じて育ててきた臨床医は、世界14ヵ国で300名以上におよぶ。
現在まで28ヵ国以上もの国で講演しており、2016年には初の来日公演を行った。
日本公演の内容はこちら
受刑者の頭の中は?
ウォルシュ博士は刑務所における受刑者校正プログラムのボランティアの一環として
受刑者の 脳の生化学分析を行いました。
特に刑務所の受刑者に見られるのは次の傾向でした。
・銅過剰
・ビタミンB6不足
・亜鉛不足
・メチル/葉酸のアンバランス
・活性酸素負荷
・アミノ酸バランス異常
これらの要素には共通点があります。
神経伝達物質を作るのに直接かかわっているのです。
博士はその後様々な精神疾患患者の脳生化学分析を行い、どのような精神疾患でも
脳の生化学 異常は上記の 6点に集約されることを見出しました。
脳の生化学に関わっている栄養素の数は意外と少ないのです。
ウォルシュ博士はこれらを測定する事で、うつ病患者の脳内の状態を
5つに分類することに成功しました。
ウォルシュ博士の推奨する生化学治療
ウォルシュ博士が推奨している医療はまさに分子栄養学的アプローチです。
神経伝達物質の活動性のアンバランスを改善する自然な方法をとっています。
患者の脳の生化学的状態を決定し、それを正常化させるのです。
この治療のポイントは以下の通りです。
◆神経伝達物質の合成に必要な栄養素の濃度を正常化する事。
◆標的栄養療法を使い、神経伝達物質の活動性をエピジェネティックに制御する事
◆フリーラジカルの酸化ストレスを軽減する事
例えば、うつ病患者の多くは、脳内のビタミンB6レベルが低いですが、
これはセロトニン合成の最終段階に必要な補酵素です。
彼らの多くはSSRIなど抗うつ薬の恩恵を受けていますが、
脳のビタミンB6レベルを補正する栄養療法は同様に効果的です。
また、SAMEのようなメチル化に関わる栄養素は、セロトニントランスポーターの
遺伝子発現を抑制するためセロトニン活性が上がります。
殆どの患者にとって抗酸化アプローチはGABA,NMDA、その他の受容体の活動性を
正常化する助けになるのです。
このような生化学的治療の一番の利点は向精神薬に関わる重大な副作用が殆どない事です。
医薬品やカウンセリングとの併用も可能であり、メンタルヘルスの治療家に
大いに治療選択肢の柔軟性を与えてくれます。
脳の生化学状態を測定します
ウイリアム・ウォルシュ博士は、30年間にわたり、2800人のうつ病の患者さんに
延べ30万件の検査を行い、検査結果から脳内の生化学状態を分類してきました。
メチレーション状態などいくつの項目を測定する事で、脳の神経伝達物質の
バランスの状態がわかります。
ウォルシュ博士は、5つの生化学タイプによって栄養療法のプロトコールを
使い分けることで、神経伝達物質の合成やシナプスの活動性に影響する化学反応を
正常化する事に成功しました。
彼はうつ病だけでなく、統合失調症、自閉症、ADHDに関しても膨大なデータを集積し、
メチレーションを軸にして病型を分類、個別改良プロトコールを確立しました。
ウイリアム・ウォルシュ・インスティテュートでは、世界中の医師に向けてこの方法論の
教育を行っています。
当院では、ウイリアム・ウォルシュ博士のメソッドに基づいた生化学分析、
およびそれに基づく栄養療法を行っています。