2004年に実施されたドイツでの研究では70%の人が腸カンジタを持っていることが判明しています。
カンジダ菌にとって腸は食料が豊富にあり、適度な湿気もあり住みやすい環境です。砂糖の摂取で餌が増えたり、抗生剤の使用で腸粘膜上の良性細菌が減り、空きスペースができると、カンジダは過剰増殖します。
腸カンジダは消化管をたどり、口腔内から肛門まで広がります。そして時には膣にまでおよぶのです。何度治療をしても膣カンジダを繰り返す場合は、腸カンジダを疑うべきです。
148名の膣カンジダ患者において、消化管カンジダの合併と再発率の関係を調べたところ、消化管カンジダを合併している膣カンジダの再発率は50%で、合併していない場合の21%と比べて顕著に高かった。Zhonghua Fu Chan Ke Za Zhi. 2011 Jul;46(7):496-500.
膣カンジダと腸カンジダとの関連を調べるため、再発を繰り返している98人の患者の膣分泌物と便を同時に培養したところ、膣カンジダを持っている全員に腸カンジダが見られた。逆に、腸カンジダがいない人には膣にもいなかった。これは、再発性のカンジダの性質を的確に表している。つまりカンジダ膣炎の治癒は腸の治療なしにはあり得ない。
JAMA. 1977 Oct 24;238(17):1836-7.
腸カンジダが過剰増殖している場合、往々にして疲労感、集中力の低下、食後の強い眠気、甘いものが欲しくなる、などの症状が出ます。膣カンジダを繰り返しており、しかも腸カンジダの症状の出ている場合は、膣錠だけでなく乳酸菌とハーブサプリを摂ってみるのもよいかも知れません。
腸カンジダについて詳しくはこちらもご覧ください。
カンジダは性行為でうつるのか?
Q.カンジダは性的接触によってうつるのでしょうか?
A.はい、しかしカンジダの過剰増殖は主に腸で起こり、口腔~肛門まで消化管全体に広がります。ですから理論的には、セックスよりもむしろキスやアナルセックスで感染しやすいと言えます。
「性器カンジダ症は性感染症ではなく、口腔と性器の接触により広がると考えられる。薬剤は感染症に有効だが、再発を繰り返す場合はより長期間にわたる治療、方針の見直しが必要となる」
メイヨークリニック
女性が男性よりカンジダ感染を起こしやすいのは、カンジダが膣など湿潤環境を好むのに加えて、解剖学的に膣と肛門が近いのも要因だと考えられます。
カンジダ感染を起こすかどうかはパートナーがカンジダを持っているかどうかではなく、むしろ自分の免疫状態に大きく左右されます。
カンジダは常在菌であり、もともと膣に少量存在しています。
抗生剤、ステロイド、ピルを使用している
副腎疲労、糖尿病や自己免疫疾患を持っている
糖分のとりすぎ、運動不足である
など免疫を低下させる状況がカンジダを過剰増殖させます。
まとめ
カンジダ感染はパートナーのせいではなく、ご自分の免疫が低下しているサインです。膣カンジダを繰り返す場合は、腸に目を向けましょう。